ダイエットには「食事制限」と「運動」のどちらが効果的?…朝日の過大解説

ダイエットには「食事制限」と「運動」のどちらが効果的?

以下は、記事の抜粋と図です。


体重を減らすための王道は、「食事(カロリー)制限」と「運動」です。では、「食事制限」と「運動」、どちらの方が効果的なのでしょうか?あるいは両方を組み合わせて実施すると相乗効果が得られたりするのでしょうか?

その疑問を解決するために実施された試験の報告がありました。45-65歳の過体重(BMIが25.0-29.9)の男女52名の対象者を、●普段のカロリー摂取量から20%制限する栄養指導を受ける群(食事制限群) ●普段の総エネルギー消費量から20%上乗せ相当の持久性運動を実施するよう指導を受ける群(運動群) ●10%のカロリー摂取制限と10%上乗せ相当の運動指導を受ける群(併用群)の3つのグループにランダムに振り分け、体重、最大酸素摂取量(VO2 max)、血圧、脂質代謝(総コレステロール値、LDLコレステロール値)、血糖値、炎症反応(CRP)、動脈硬化指標(脈波伝播速度:PWV、脈波増大係数:AI)の変化について、それぞれのグループによって違いがあるのかどうかを調べました。  その結果が以下の表です。

結論としては、食事制限単独、運動単独、食事制限と運動の併用のいずれにおいても、体重減少や心血管系疾患に関連するリスク因子の改善への効果は同程度ということになります。

さらに、論文を注意深く読んでみると、少し興味深いことがわかります。 もともと、この臨床試験には69名が参加予定でした。しかし、最終的に解析対象となったのは52名でした。ダイエットや運動がつらくて途中でやめてしまった人がいるのかもしれません。 その脱落者の人数をグループ別にまとめたものがこちらです。

表を見てお分かりの通り、食事制限単独群と運動単独群では約3割の人が脱落してしまっています。一方で、食事制限と運動をそれぞれ単独群の半分程度ずつおこなった併用群では脱落率は5%にとどまっています。 「食事制限だけ」あるいは「運動だけ」でダイエットをしようとすると途中で挫折してしまう可能性が高く、両方を少しずつおこなうことが成功の秘訣(ひけつ)なのかもしれません。


元論文のタイトルは、”Effects of matched weight loss from calorie restriction, exercise, or both on cardiovascular disease risk factors: a randomized intervention trial.”です(論文の要約をみる)。

論文の結論は、食事制限と運動の効果は、両方やっても相加的な効果(2つを合わせた効果)は得られなかったという、両方を行うことに対する否定的なものです。フルテキストは見れませんが、「この記事を読んでいる方のなかで、もしダイエットを考えている人がいたら、無理な食事制限や急激な運動負荷ではなく、両方を少しずつおこなうことを心がけてみてはいかがでしょうか。」という大野氏の解説は、統計を理解しない過大解説だと思います。

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