アメリカでゲノム編集技術「CRISPR/Cas9」を用いたがん治療の臨床試験申請が承認

人間の遺伝子操作を行うゲノム編集技術「CRISPR/Cas9」を用いた臨床試験申請が承認される
以下は、記事の抜粋です。


ゲノム配列の任意の場所の操作を行えるゲノム編集技術「CRISPR/Cas9」を活用した臨床試験の申請が、アメリカ国立衛生研究所(NIH)の「組み換えDNA諮問委員会(RAC)」の審議を通過しました。

ペンシルベニア大学が骨髄腫(ミエローマ)・黒色腫(メラノーマ)・肉腫(サルコーマ)といった腫瘍に対して、がん患者の体内から取り出したT細胞をゲノム編集して戻すことで攻撃を行わせ、治療するという方法を提案し、その臨床試験の是非についての審議が行われた、というわけです。

RACは棄権1を除いて満場一致でこの臨床試験を承認しました。ただ、これから研究者らが所属する機関の倫理委員会の承認、およびアメリカ食品医薬品局(FDA)の承認も必要なので、今すぐに臨床試験が始まるというわけではありません。


Science誌の記事”First proposed human test of CRISPR passes initial safety review“によると、患者のT細胞を取り出し、ゲノム編集技術を用いて”NY-ESO-1″というタンパク質に対する受容体を発現させた後、T細胞を患者体内に戻して、NY-ESO-1を発現するがん細胞を殺すという戦略だそうです。

NY-ESO-1は、1997年に食道癌から見出されたがん抗原です。悪性黒色腫をはじめ各種腫瘍にさまざまな程度(5~40%)に発現しますが、正常組織では精巣にのみ発現が認められることから、これまでもがん免疫療法などの標的分子として試験的治療が行われてきました。記事を読んだ限りでは、採血と細胞注射だけで、治療のための侵襲は低そうです。上手くいくことを祈ります。

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