喫煙で男性型脱毛症リスク1.8倍、重症化も

喫煙で男性型脱毛症リスク1.8倍、重症化も
以下は、記事の抜粋です。


喫煙は、多くの場合、ニコチンを含むタバコを娯楽として摂取することを指し、男性型脱毛症(AGA)の発症および悪化の危険因子であると考えられている。その関連の程度を調べたメタアナリシスの結果が発表された。カナダ・Mediprobe ResearchのAditya K. Gupta氏らによる本研究の結果はJournal of cosmetic dermatology誌オンライン版2024 年1月4日号に掲載された。

カナダのAditya K. Gupta氏らは2023年8月4日、PubMedで「hair loss(脱毛)、alopecia(脱毛症)、bald(頭髪のない)、androgenetic alopecia(男性型脱毛症)」「tobacco(タバコ)、nicotine(ニコチン)、tobacco smoking(喫煙)」の用語で当てはまる研究を検索、その結果2003~21年に発表された8件の研究が同定された。全研究が観察研究で、症例対照または横断研究であり、対象は男性の現在喫煙者と過去に喫煙経験がある人だった。得られたデータから、男性AGAの発症と重症化(軽度:ステージI-IIIから重度:ステージIV-VII)における喫煙状態(喫煙vs.非喫煙)と喫煙強度(喫煙減少vs.喫煙増加)の影響についてメタ解析を行い、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出した。

主な結果は以下のとおり。

・喫煙経験のある男性は喫煙経験のない男性に比べ、AGAを発症する率が有意に高かった(OR:1.82、95%CI:1.55~2.14)。
・1日10本以上喫煙する男性は、1日10本未満の喫煙する男性に比べ、AGA発症する率が有意に高かった(OR:1.96、95%CI:1.17~3.29)。
・AGA男性では、喫煙経験のある男性は喫煙経験のない男性に比べ、疾患進行のオッズが有意に高かった(OR:1.27、95%CI:1.01~1.60)。喫煙強度と疾患進行の間には有意な関連は認められなかった。

著者らは、「男性型脱毛症の患者には、喫煙が及ぼす悪影響について教育する必要があるだろう」としている。


元論文のタイトルは、”A meta-analysis study on the association between smoking and male pattern hair loss(喫煙と男性型脱毛の関連性に関するメタアナリシス研究)”です(論文をみる)。

タバコに含まれるニコチンと一酸化炭素の作用によって血管が収縮し、毛髪の成長と脱毛をコントロールしている毛乳頭細胞に酸素と栄養が届きにくくなった結果、毛髪は正常な成長が困難になり、抜け毛や薄毛の症状が進行しやすい状態となると考えられます。

最近は従来の燃やすタバコではなく、アイコスなどの加熱式タバコに変えるヒトも多いです。肺がんは長い経過で生じる病気なので、加熱式タバコで肺がんリスクが増えるかどうかの結論はまだ出ていませんので、肺がんを理由に若い男性に加熱式タバコも健康に悪いことを説明するのは難しいと感じていました。加熱式のタバコのほとんどはニコチンを含んでいおり、血管収縮作用はあるはずなので、男性型脱毛のリスクについて説明することにします。

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