「役に立たないが美しい」

ネアンデルタール人と現生人類は価値観を共有していた―小さな貝の化石が語る人類交流の歴史―
以下は、記事の抜粋です。


京都大学の森本直記准教授とトルコ・ガジアンテップ大学のバイカラ・イスマイル教授らの研究チームは、トルコ共和国南部に位置するウチャーズリ II 洞窟における発掘調査により、単一の遺跡からネアンデルタール人と現生人類ホモ・サピエンスの両方の化石を発見しました。

特筆すべきは、これらの異なる人類種が 2 万年以上にわたり、安定して共通の文化を維持していた点です。彼らは同じ手法で石器を製作し、同じ食糧調達戦略をもっていました。

こうした文化の共通性は、石器や食糧といった実用面だけでなく、非実用的な自然物の収集行動にも及んでいました。特に、2 つの人類種は共通して食用に適さない特定の種の貝殻(下図)を収集していました。

種を超えた文化の共通性の背景には両者の交流があり、そしてその交流の基盤には、特定の「役に立たないが美しい」貝殻の収集に表れているように、種を超えた価値観の共有があったと本研究グループは考えています。

今回本研究グループが発見したサピエンスの化石は約 6万年前〜5 万年前のものであり、アフリカ外の現生人類の遺伝的基盤が形成されたと推定される年代と合致しています。この時期のサピエンスの化石記録は極めて乏しく、本発見は化石記録の空白を埋める点、さらに、そのサピエンスがネアンデルタール人と交流していた可能性を示す点で重要な成果です。


元論文のタイトルは、”Long-term cultural continuity across the Neanderthal-modern human sequence at Üçağızlı II Cave, northern Levant (レバント北部、ウチャーズリ II 洞窟における、ネアンデルタール人と現生人類にまたがり長期に渡った文化の連続性)”です(論文をみる)。

鳥も「役に立たない美しさ」を求めるという話もあります(記事をみる)。でも、なんとなく良い話です。

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