掲示板型SNSにおける「GLP-1受容体作動薬」の副作用報告を解析してわかったこと

AIが抗肥満薬の未知の副作用を発見できる可能性、SNS上の患者報告を分析
以下は、記事の抜粋です。


肥満治療に使われる「GLP-1受容体作動薬」は、重篤な副作用はあまり多くないとされていますが、実際に体感する副作用についての十分な臨床試験が不足している面もあります。ペンシルベニア大学の研究者らが発表した論文では、AIを用いてインターネット上の書き込みを広く分析することで、臨床研究では知られていなかった副作用を発見できる可能性を示しました。

GLP-1受容体作動薬には、肥満治療薬「ウゴービ®」や2型糖尿病治療薬「オゼンピック®」として知られるセマグルチド、2型糖尿病と肥満症の治療に使われるチルゼパチド(マンジャロ®、ゼップバウンド®)などがあります。2005年に糖尿病治療薬として最初に開発されたGLP-1受容体作動薬は、2014年に肥満治療薬として承認されました。その後、より高い減量効果を持つ薬剤としてセマグルチドやチルゼパチドが登場しました。

研究チームは、掲示板型SNSであるRedditにおける2019年5月から2025年6月までの6年間にわたる41万件以上の投稿を分析し、主要なGLP-1受容体作動薬であるセマグルチドまたはチルゼパチド、あるいはそれらが含まれる「オゼンピック」などの商品名について言及されている投稿を探しました。その上で、これらの薬剤を使用しているというユーザーが報告している副作用について集計しました。

41万件以上の投稿を分析した結果、6万7008人のユーザーがGLP-1受容体作動薬を使用していると自己申告していたことが分かりました。そして、その中で少なくとも1つの副作用を報告していた投稿は43.5%ありました。

最も報告が多かった副作用は消化器症状で、吐き気が36.9%、けんたい感が16.7%、おう吐が16.3%、便秘が15.3%、下痢が12.6%。吐き気や下痢、便秘といった副作用はGLP-1受容体作動薬の軽度な副作用として知られているものです。

そして、これまで十分に報告されていなかった可能性のある副作用として、月経不順のような生殖器症状や、悪寒やほてりといった体温関連の症状の報告が確認されました。一方で、副作用だけでなくアルコール摂取欲求の低下など既存研究でも注目されている効果についての投稿も確認されています。

今回の分析ではOpenAIのGPTモデルを用いて投稿中の症状表現を抽出・分類することで、大規模なデータ処理とパターンの発見を実現しています。Redditは若いアメリカ人の成人にユーザーが偏っているほか、あくまで自己申告によるため実際にGLP-1受容体作動薬がそれらの症状を引き起こしたと断定することはできません。


元論文のタイトルは、”Self-reported side effects of semaglutide and tirzepatide in online communities(オンラインコミュニティにおけるセマグルチドおよびティルゼパチドの自己申告による副作用)”です(論文をみる)。

これまでに報告されていなかった副作用候補の頻度を知りたいと思って論文をみようとしましたが、高市氏と同じで有料だったのでやめときました。いずれにしても、おもしろい着眼点だと思います。

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