スタチン服用でインフルエンザワクチンの効果が低下

スタチン服用でインフルエンザワクチンの効果が低下
以下は、記事の抜粋です。

広く使用されているコレステロール低下薬のスタチンが、高齢者のインフルエンザワクチンの効果を低下させる可能性があることが2件の研究で示された。

研究についての論説を執筆したベイラー医科大学のRobert Atmar氏は、スタチンには明確な便益があり、今回の結果を理由に短期間でも使用を中止すべきではないと述べるとともに、スタチンを使用していてもインフルエンザワクチンの効果はある程度得られるため、接種を受けるほうがよいと付け加えている。

1つ目の研究は、米シンシナティ小児病院のSteven Black氏らにより実施され、米国および他の3カ国で2009～2011年にインフルエンザワクチンの臨床試験に参加した65歳以上の患者約7,000人の医療記録を調べた。

ワクチン接種から3週間後に実施した検査の結果、スタチンを使用していた患者は、抗体値がインフルエンザ株の種類により38～67％低かった。

2つ目の研究は、エモリー大学准教授Saad Omer氏らにより実施された。この研究では、インフルエンザに起因する急性呼吸器疾患の症例に着目し、2002年から2011年にかけて約14万人を追跡した。その結果、ワクチンを接種した患者がスタチンを併用していると、インフルエンザに対する防御効果が低下することが判明した。

元論説のタイトルは、”Influenza Vaccination of Patients Receiving Statins: Where Do We Go From Here?”です（論説をみる）。1つ目の論文のタイトルは、”Influence of Statins on Influenza Vaccine Response in Elderly Individuals”です（論文をみる）。2つ目の論文のタイトルは、”Impact of Statins on Influenza Vaccine Effectiveness Against Medically Attended Acute Respiratory Illness”です（論文をみる）。

どちらの研究もしっかりとしたもののようですので、スタチン服用が高齢者でインフルエンザワクチンの効果を有意に低下させることはかなり確かのようです。

ただ、Atmar氏も書いているように、スタチン服用によるベネフィットとリスクを考えれば、インフルエンザに罹患しやすくなるからと言って、スタチンの服用を止めるべき患者は多くない、おそらくほとんどいないと思います。やるとすれば、アメリカのように高齢者には高用量インフルエンザワクチンを打つことでしょうか？