コレステロール下げるマヨネーズ！―ホンマカイナ？

最近、ある友人から、「コレステロールを下げるマヨネーズってあるけど、ホンマ？」と聞かれました。「ウソ！」と思いながらネットを探したら以下のサイトがありました。

上の図の根拠だと思われるデータが発表されている日本病態栄養学会誌の論文、「植物ステロール含有マヨネーズの境界域及び軽度高コレステロール血症者の血清コレステロール濃度低下作用」を読んでみました（論文をみる）。

論文によると、植物ステロール含有マヨネーズを食べた被験者群では、コントロール群に対し、血清TC、LDL－C及びApoB濃度のすべてにおいて有意な低下が認められたことになっています。

おそらく、このデータにより「本品はコレステロールの吸収を抑制する働きのある植物性ステロールを配合することにより、血中総コレステロール及びＬＤＬコレステロールを下げるのが特長です。コレステロールが気になる方の食生活改善に役立ちます。」という表示が消費者庁によって2005年9月に許可されたのだと思います。いわゆる「トクホ」（特定保健用食品）です。

しかし、この論文の著者の7人中4人はキューピーの社員です。また、有意差があるとされる12週目のLDL-Cの生データは、コントロール群が153±7（mg／dL）で、植物ステロール摂取群が142±4（mg／dL）です。摂取群のスタート時の値は、149±5（mg／dL）です。バラつきがちのヒトのデータにしては値が安定しすぎているのも不思議だし、数パーセントしかない差が有意なのも不思議です。さらに最近、食事中のコレステロール量が血清コレステロール値にあまり影響しないことが明らかになりました。これらを総合すると、このマヨネーズが、「血中総コレステロール及びＬＤＬコレステロールを下げる」ことはかなり怪しいと思われます。

しかし、一度表示が許可されると、その後は無期限にトクホマークを付けて販売することができ、再審査などは行われていません。僕は友人に「やめとき」と答えました。