唐辛子が食べ過ぎを防ぐ、注目したのは「TRPV1」
以下は、記事の抜粋です。
おなかがいっぱいになると胃は広がる。このとき胃の神経の働きを活発にして体に「満腹信号」を伝える。唐辛子を食べると、この仕組みのために満腹感を感じやすくなるようだ。
唐辛子に含まれる成分として「カプサイシン」と呼ばれる成分がある。カプサイシンには食事量を減らす効果があると、これまでの研究から分かっている。さらに、食事にカプサイシンが含まれていると、受容体である「TRPV1」の遺伝子が働いて、高脂肪食でも肥満になりにくいと報告されている。
研究グループは、胃のカプサイシンとTRPV1が満足感とどう関係するかを検証した。胃の神経を刺激する唐辛子の受容体「TRPV1」がなくなると、満腹だと感じる時間が遅くなり、食べる量が増えることにつながる。
高脂肪食を食べると、TRPV1の反応が鈍るという現象も分かった。高脂肪食でも肥満になりにくくする一方で、限界があるのかもしれない。TRPV1をうまく肥満の治療に結び付ける道を研究グループは探っていくようだ。
ダイエットに辛い食べ物を取り入れるのは理にかなっているのだろう。
元論文のタイトルは、”TRPV1 Channels and Gastric Vagal Afferent Signalling in Lean and High Fat Diet Induced Obese Mice”です(論文をみる)。
唐辛子に含まれるカプサイシンが「TRPV1」を刺激してシグナルを伝えることは事実です。上の記事は「TRPV1」の遺伝子をノックアウトしたマウスを用いて、胃の運動を調べた論文を紹介しています。そして、いかにも唐辛子のダイエット効果が解明されたかのように書いています。
しかし、同論文は「TRPV1」ノックアウトマウスの体重が野生型の動物と変わらないことも示しています(下図参照)。これは「TRPV1」に対する刺激が無くてもマウスは太らないことを示唆しています。他の論文の結果も一貫していません。これらの結果をみると、少なくともマウスでは、唐辛子はダイエットに効果がないようです。
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