依存性のある睡眠・抗不安薬「ベンゾ系薬剤」、過剰処方が2割
以下は、記事の抜粋です。
精神科などを受診する外来患者の約2割が、睡眠薬や抗不安薬に広く使われている「ベンゾジアゼピン(ベンゾ)系」の薬剤の処方量が過剰であるとする調査結果を、医療経済研究機構がまとめた。
依存性があるベンゾ系薬剤は、使い続けるとやめにくくなる危険があり、厚生労働省は診療報酬で睡眠薬や抗不安薬の多剤処方を制限している。
大手調剤薬局のデータベースを使い、2011年4月~昨年11月に精神科と心療内科から発行された、延べ110万人分の処方箋を分析した。その結果、標準的なベンゾ系薬剤(ジアゼパム)換算で1日当たりの最大用量を超えていた割合は19・1%だった。内訳は2倍以内が13・3%、2倍超から3倍は3・7%、3倍超は2・1%だった。
日本は先進国の中でベンゾ系睡眠薬の使用量が極めて多いことが知られている。厚労省は昨年度の診療報酬改定で、睡眠薬や抗不安薬を一度に3種類以上処方した場合、原則的に診療報酬の一部を請求できない仕組みを導入した。だが、今回の調査ではベンゾ系薬剤の処方量は導入前と比べてあまり変わっていなかった。
ベンゾ系薬剤の依存についは、読売新聞が2012年11月20日に掲載した以下の記事が参考になります。
抗不安薬依存 深刻に
以下は、同記事の抜粋です。
長期に使うと抑うつや注意力低下などの副作用が表れやすい。さらに、用量を守って使っていても薬物依存(常用量依存)に陥り、薬を急に減らしたりやめたりすると、不安の増大やパニック発作、頭痛、筋硬直、不眠などの離脱症状が表れることがある。
欧米では、治療指針で処方期間を4週間以内とするなど、早くから対策が講じられた。英国ではベンゾ系薬剤をやめるための専門施設もある。
ところが日本では、多くの精神科医や内科医が「飲み続けても安全」と、漫然と使い続けた。国連の国際麻薬統制委員会の2010年報告では、日本はベンゾ系睡眠薬の使用量が突出して多く、同一人口当たりの使用量は米国の約6倍だ。10年以上の服用者も多く、常用量依存患者は相当数に上ると見られる。
ベンゾ系およびその類縁の薬物は、精神科や神経内科だけでなく、一般内科や整形外科で、マイスリー®やデパス®などの薬が不眠はもちろん、筋緊張性頭痛や肩こりや腰痛などの症状に対して長期処方されることは珍しいことではありません。
King’s College名誉教授のMalcolm H Lader氏は、「ベンゾジアゼピンから離脱させることは、ヘロインから離脱させるよりも困難である。その依存はかなり深く染み込み、禁断症状も非常に耐え難いため、薬を止めるのに相当な問題が生じる。」と述べています(記事をみる)。
そのためだけではないと思いますが、欧米でのベンゾ系薬物に対する規制は厳しく、日本ではロヒプノール®やサイレース®という名前で良く知られているフルニトラゼパムは、アメリカでは「持ち込み禁止薬物」、フランスでは「麻薬と同等の処方制限の対象」になっています。
上の記事にあるように、多剤規制を導入しても全体の処方量を減らすことにはつながっていないのであれば、欧米並みに処方期間を4週間以内とする規制を早急に導入する必要があると思います。
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アシュトンマニュアル(ベンゾジアゼピン - それはどのように作用し、離脱するにはどうすればよいか)
コメント
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デパスは精神科以外の診療科でよく処方されますね。こんなに必要?という位処方されます。
むしろ、精神科では4週間処方はあまり無いと思います。
抗精神薬は精神科のみで良いと私は思います。
まともな?精神科は血中濃度?を見ながら処方すると思いますし、副作用も観察出来ると思います。