SGLT2阻害薬は糖尿病治療の主役になり得るか?

SGLT2阻害薬は糖尿病治療の主役になり得るか?
日本糖尿病学会が2015年5月21日~24日に開催されました。そこで、SGLT2阻害薬に関する興味深いディベートがあったようです。以下は、紹介記事の抜粋です。


糖尿病治療の主役になり得る」の立場の医師は、「速やかかつ確実な血糖降下作用に加え、体重減少、血圧低下、脂質改善など患者自身が実感できる作用から患者の行動変容を促すことができ、このような薬剤は他にない。起こりうる副作用も予測可能であることから、適正使用により安全性に大きな問題なく使用できる。」と述べ、現状では好適患者像は肥満を合併する、非高齢の2型糖尿病患者であるとした、そうです。

一方、「糖尿病治療の主役になり得ない」の立場の医師は、SGLT2 阻害薬の副作用の種類や発現頻度、質がDPP-4阻害薬と異なることを以下の様に指摘しました。DPP-4阻害薬では、他剤との併用に伴う低血糖に関する注意が大部分を占めているが、SGLT2阻害薬の使用に関しては、すべての年齡で、いつまでも副作用の注意が必要な薬剤であり、副作用の発現予測がしにくいことを指摘。特に、脱水症や脳血管障害はときに不可逆となり、制御困難となるとの懸念を示した、そうです。


「主役になり得る」と主張する川崎医大の加来氏が「医師は惑わされずに、まず(SGLT2 阻害薬を)使ってみて議論すべきだ。」と強調した、というのには少し驚きました。これで科学的に評価できるデータが出て来るとは考えられません。

「SGLT2阻害薬は実際に処方しても良い患者の選択基準がまだ明確でなく、副作用の予測・回避・制御が難しい」ことと国内の2型糖尿病患者の7割が65歳以上である、ことを考えると、現時点ではSGLT2阻害薬は糖尿病治療の主役になりにくいという結論が妥当だと思います。

私自身の経験では、肥満を合併する非高齢の「生活習慣の改善が“確実に”期待できる」2型糖尿病の患者は極めて稀なので、SGLT2阻害薬の好適症例も稀だと感じています。

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