免疫チェックポイント阻害薬関連の1型糖尿病、生存率との関連~日本人2万例を解析
以下は、記事の抜粋です。
免疫チェックポイント阻害薬に関連した1型糖尿病(ICI-T1DM)の発現割合、危険因子、生存率への影響について、奈良県立医科大学の紙谷氏らが調査した結果、ICI-T1DMは0.48%に発現し、ICI-T1DM発現が高い生存率に関連していることが示唆された。
研究は、DeSCデータベースを用いた後ろ向き大規模コホート研究で、2014~22年にICIを投与された2万1,121例が登録された。ICI-T1DM発現の危険因子とその特徴を評価し、ICI初回投与の翌日以降の新たな免疫関連有害事象(irAE)の発現をアウトカムとした。
主な結果は以下のとおり。
・ICI投与開始後、2万1,121例中102例(0.48%)にICI-T1DMが認められた。
・PD-(L)1阻害薬とCTLA-4阻害薬の併用は、PD-1阻害薬単独と比較してICI-T1DMのリスクが高かった(オッズ比[OR]:2.36)。
・過去に糖尿病(OR:1.59)または甲状腺機能低下症(OR:2.48)と診断された患者はICI-T1DMリスクが高かった。
・Kaplan-Meier解析では、ICI-T1DM患者はそうでない患者よりも生存率が高かった(log-lank検定p<0.01)。
・多変量Cox回帰分析では、ICI-T1DM発現は低い死亡率と関連していた(ハザード比:0.60)。
元論文のタイトルは、”Immune checkpoint inhibitor‐related type 1 diabetes incidence, risk, and survival association(免疫チェックポイント阻害薬関連1型糖尿病の罹患率、リスク、生存率との関連性)”です(論文をみる)。
命と引き換えの1型糖尿病ですね。今後は、肥満による2型糖尿病が減って、「がんサーバイバー1型糖尿病」が増えそうな気がします。
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