大石静さんと有働由美子さんの対談から

「平安時代は男が女を挨拶代わりに抱くような…廊下なんかでも」が説く“やりたい放題”のススメ《「光る君へ」脚本に込めた思い》
『光る君へ』や『セカンドバージン』の脚本家の大石 静(日本の脚本家、エッセイスト、作家、女優 by Wiki)さんとアナウンサーの有働 由美子さんの対談記事です。以下は、記事の抜粋です。


有働 『光る君へ』の舞台である平安の世は、それこそ不倫だらけの時代じゃないですか。でも今は、不倫のフの字でも出た人はテレビにすぐに出演できなくなりますよね。
大石 ちょっと恋をしただけで仕事を失うって、恐ろしい世の中です。「いい思いしやがって」という人々の嫉妬心。
有働 脚本家の仕事は、そういう変化の影響を受けますか?
大石 普段できないからドラマの中で夢を見てもらえるようにと思って作っています。特に平安時代は、男が女を挨拶代わりに抱くような……廊下なんかでもやっちゃったらしいんですよね。
有働 廊下でも!?
大石 女性も添い遂げるなんていう感覚はさほどなく、嫌だと思ったら転職するように夫を替える。だから男も女もみんなが逞しいし、根源的なエネルギーに溢れていた時代なんです。今のこの閉塞的な時代に「やりたい放題でもいいんじゃない?」という気持ちも、脚本に込めました。
有働 私は独身ですけど、この仕事をしていると、恋をしていることも明かせなかった。男がいると思われちゃいけない感じがして。
大石 それはNHKのアナウンス室がなかなか窮屈なところだったんでしょう。私なんかは結構やりたい放題でいましたよ。
有働 それこそ不倫も?
大石 結婚前に不倫したり、結婚してからも好きな男ができたりしました。72歳になった今では、欲望も薄らいでますけど(笑)。
有働 若い頃が気になります!
大石 欲しい男は必ず押し倒していました。私は黙っていても誰かが寄ってくるような有働さんのような魅力がないので、好きな人には「好きです」と打って出る。男の人って気が弱いから、必ず「そんなに僕を好きなら付き合ってみましょうか」ってなりました、昔は。
有働 ひえ〜、すごい。『セカンドバージン』は女性が17歳下の男性と不倫する話でしたが、執筆当時の大石さんは22歳下の方と付き合っていたと聞きました。
大石 はい。私の知り合いにも似たような人がいたし、表に出ないだけで意外とあるものなんですよ。
有働 そういう恋人の存在は、夫公認だったんですか?
大石 もちろんそうです。いつでもそうです。
有働 夫婦間でトラブルにはならなかったのでしょうか
大石 夫は去年他界したのですが、夫も女性と旅行に行くとか適当にやっていました。でも仲良し夫婦でしたよ。お手伝いさんに「いろんな家に行っていますけど、こんな仲良しなご夫婦は見たことない」と言われたぐらいです。
有働 お互い嫉妬しないですか?
大石 私たちはなかったですね。嫉妬しない方が穏やかに暮らせるし、食べ物の好みが似ているとか、笑いのポイントが似ているなどの方が、結婚生活では大事だと思います。性的なことは、どうぞ外でやってくださいと。
有働 この文化を広めたい人、手を挙げてという感じですが(笑)。
大石 でも夫のことが第一でしたし、最期も苦しまず恐れず旅立てるように、これ以上は出来ないくらい頑張りました。夫も感謝して逝ったと思います。イチャイチャした仲ではなかったけど25歳から連れ添って親より長く一緒にいたから、片腕がなくなったような感覚です。
有働 愛情が中途半端ではない。
大石 愛とエロスはちょっと違うんですよね。


大石さんは、私とほぼ同年代のヒトです。ベトナム戦争とかあさま山荘とか、、、いろんな事があった同じ時代を生きてきたんだなあと思いました。

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