NSAIDsで脳卒中死亡4割増 【米国神経学会】
以下は、記事の抜粋です。
米国神経学会は11月5日、関節炎や痛みに対して昔からよく処方されている選択性非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)(COX-2阻害薬)が脳卒中のリスクを高めることを示す研究を紹介した。
研究では、デンマークで2004-2012年に初めての脳卒中により入院した10万243人の患者の記録と脳卒中から1カ月以内の死亡について調査。選択性NSAIDsで昔からある旧世代COX-2阻害薬(ジクロフェナク、エトドラクなど)、コキシブ系と呼ばれる新世代COX-2阻害薬(セレコキシブ、ロフェコキシブなど)、また一般的な鎮痛薬である非選択性NSAID(イブプロフェンなど)を対象とし、脳卒中から2カ月以内の服用の有無、現在服用中であれば、今回が初めての使用かあるいは長期間の使用かを調査した。
その結果、現在COX-2阻害薬を使用している患者の脳卒中死亡率は非服用患者に比べて19%高かった。また、非服用者に比べて旧世代COX-2阻害薬を服用した患者の死亡率は42%高く、中でもエトドラク服用患者に関しては死亡率が53%高かった。一方、非選択性NSAIDsと脳卒中による死亡との関連はみられず、慢性的使用でも脳卒中との関連性はいずれの薬剤においても認められなかった。
元論文のタイトルは、”Preadmission use of nonaspirin nonsteroidal anti-inflammatory drugs and 30-day stroke mortality”です(論文をみる)。
COX-2阻害剤は、血小板のCOX-1を阻害しないので、血栓形成を促進するトロンボキサンA2の合成は阻害しないが、血管内皮細胞のCOX-2を阻害するので、血栓形成を抑制するプロスタサイクリンの合成は阻害します。つまり、血栓形成を抑制する物質の産生が減ります。そのため、COX-2阻害剤を服用すると血栓が形成され易くなり、心筋梗塞などの心血管リスクが高まると考えられています。
鎮痛薬としてよく使われているジクロフェナク(ボルタレン®)やエトドラク (オステラック®)が旧世代のCOX-2阻害剤であり、少なくとも脳梗塞の発生については新世代の阻害剤よりもリスクが高いという重要なことが報告されているので紹介しました。
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