精子と卵子が正常でも不妊 理研、マウスで確認
以下は、記事の抜粋です。
理研の権藤チームリーダーらは、精子と卵子が正常でも不妊になるケースがあることをマウスの実験で突き止めた。ゲノム(全遺伝情報)の1つの塩基が違っているだけで、受精できなくなる。妊娠を望むカップルの約9%が不妊に悩むといわれる。不妊の早期診断や早期治療につながると期待される。
研究グループは、体を形作ったり、がんの発生に重要な役目を果たしたりするベータカテニンというたんぱく質について、1つの塩基を変化させたマウスを調べた。
781個並んだアミノ酸のうち、429番目のアミノ酸で塩基配列に1カ所変化があると、精子と卵子は正常なのに不妊になることがわかった。詳しく調べると、メスの膣が閉じて交尾ができなくなったほか、オスは精液を作る精のうに異常が発生し、精子が卵子にうまくたどりつけなくなっていた。
ベータカテニンは人間にもあり、アミノ酸の配列はマウスとまったく同じ。人間でも同じ理由で不妊になっている可能性があるという。
元論文のタイトルは、”β-cateninC429S mice exhibit sterility consequent to spatiotemporally sustained Wnt signalling in the internal genitalia”です(論文をみる)。理研の広報活動ページでも報道発表資料をみることができます(資料をみる)。
理研が2008年に開発と整備を発表した「点突然変異マウスライブラリー」を使った仕事です(発表をみる)。ENUという変異原で突然変異させたマウスの中からおもしろい表現型のマウスを探してくるという大規模な実験の成果です。成果を誇示したい気持ちはわかりますが、ヒトの不妊にこじつけるのは少し無理があると思います。
マウスと同じ表現型がヒトにおこったとしても(おこらないと思うけど)、膣閉鎖や精嚢の過剰形成などの臓器形成異常であれば、精子と卵子は正常なので、いわゆる試験管内受精で不妊は簡単に治療できてしまうはずです。
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