今年のノーベル物理学賞と平和賞についての報道

産経新聞の、ノーベル賞中村修二さんに関する報道

仲村修二さんは2001年の朝日賞の受賞講演をナマでみてからずっとファンです。裁判にも注目していましたが負けて残念に思っていました。今回のノーベル賞、本当に良かったと思います。アメリカ人になってしまっていたことにもまたまた感心してしまいました。

日本のマスメディアを象徴するようなおもしろい記事をみつけたので紹介します。以下はその要約です。

産経新聞は裁判が終わった直後の2005年2月8日「文化欄」に「青色発光ダイオード裁判・『和解決着』の意味するもの。」と題する記事を載せたそうです。以下はその最後の部分です。


いずれにしろ、この高裁での和解決着は、中村修二氏の「世紀の発明」物語の根拠の怪しさとともに、中村氏がテレビや書籍で大言壮語、悲憤慷慨した稚拙な「日本的システム批判」や「教育制度批判」も、口から出任せの空理空論だったことを間接的に立証したと、私は思う。

中村氏は、高裁判決後の記者会見で、「これから研究生活に戻りたい」と発言している。大いに結構である。ついでに言わせてもらうならば、専門外の幼稚な教育論や文化論はほどほどに慎むべきであろう。

いずれにしろ、中村氏の本来の専門分野での活躍を祈りたい。しかし無理だろうと私は思う。中村氏が批判し罵倒してやまない日本の集団主義的研究生活よりも、アメリカの大学の個人主義的研究生活の方が、より豊かな研究成果をもたらすだろうとは、私は思わないからだ。「集団主義」的、「協調主義」的な日本的システムの強さと豊かさに、中村修二氏が気付くのはそう遠い日ではあるまい。


以下は、2014年10月8日に産経新聞に「暗雲吹き払ったノーベル賞」と題して掲載された記事からの抜粋です。


▼発表者が、ここにも使われている、とスマートフォンをかざして見せたが、これほどわかりやすい業績はない。信号機やLED照明、テレビなど、わが家にもノーベル賞があるのが誇らしい。

▼受賞者の一人、中村修二さんは勤務していた企業に「発明の対価」を求めた訴訟でも話題になった。約8億4千万円で和解が成立したが、研究者に希望を与えた。もう一つ重要な功績がある。STAP細胞論文の騒動で日本の科学界に漂う暗雲を吹き払ってくれたことだ。


マスメディアが手のひらを返したような報道をするのは当然としても、STAP細胞論文の件を単なる「騒動」ととらえ、10年以上前の業績で与えられるノーベル賞で「暗雲を吹き払ってくれた」と思える、ホント、素晴らしい新聞社です。

マララさんのノーベル平和賞に、批判合戦が巻き起こってる

一方、ノーベル平和賞についての「NAVERまとめ」はとてもフェアな報道です(記事をみる)。ノーベル平和賞を受賞した17歳のパキスタン人女性マララさんについて、欧米の大人達が作り上げたとか、利用されているだけという批判もあるそうですが、受賞記者会見をリアルタイムでみた印象では、日本はもちろん、欧米の大半の大人達よりもはるかに自立していると思いました。

コメント

  1. あ* より:

    SECRET: 0
    PASS:
    「『集団主義』的、『協調主義』的な日本的システムの強さと豊かさ」
    とは、要するに「シナジー効果」です。
    我が家は先祖代々理系人が多いのですが、
    それで観察して得られた知見は、
    西洋人が驚くブレークスルーは、いずれも
    (1)「シナジー効果」を活かした現場からの組織立ち上げと、
    (2)ハードウェアの設計も「シナジー効果」を活かしたもの
    ということでした。
    教育は「高学歴ならば良い」というものでもありません。
    http://ameblo.jp/shyusui/entry-11917868199.html#c12589943930
    にコメントしました。
    「シナジー効果」を活かした現場からの組織立ち上げは、宮大工さんたちの職人集団に、
    ハードウェアの設計も「シナジー効果」を活かしたものは、癖のある木を巧みに組み合わせて、千年も建つ木造建築を達成したことに、
    それぞれ伝統が示されています。
    参考:
    『木のいのち木のこころ―天・地・人』(新潮文庫)
    「アド・ホック組織」
    http://www.isas.ac.jp/ISASnews/No.217/tokushuu-19.html
    と新しいもののように書いていますが、日本の伝統です。

タイトルとURLをコピーしました