家族性の長寿に関連する遺伝子を発見
以下は、記事の抜粋です。
スペインの国立がん研究センターによる研究チームが、非常に長寿な家系(100才以上)出身のヒトのAPOB遺伝子中に、珍しい変異体があることを同定した。
研究チームは少なくとも2人の兄弟姉妹が100才前後であるスペインの3家族を特定し、遺伝子の配列を決定した。その結果、この3家族の長寿の兄弟姉妹に変異を持つ遺伝子が一つだけ発見された。それが脂質輸送に関与するAPOBである。
APOBは「長寿症候群」と考えられている低βリポ蛋白血症とも関連付けられている。またAPOBによってコードされたタンパク質は、議論の余地のないほど長寿と関連がある遺伝的変異を持つ関連タンパク質APOEと共に脂質輸送を行っている。
本研究は、ヒトの長寿の重要な決定因子がコレステロールおよび脂質代謝であることを指し示している。
元論文のタイトルは、”Exome sequencing of three cases of familial exceptional longevity”です(論文をみる)。
APOBは1976年に最初に長寿関連遺伝子として報告されて以来何度も長寿との関連が示唆されており、研究グループが調べた3家族すべてで変異があった。やっぱり、APOBは長寿との関連が深かった。そういう結論です。論文では、APOB以外にもPPARGC1A、NRG1、RAD52、RAD51、NCOR1、ADCY5などの遺伝子を長寿候補遺伝子として示唆していますが、APOBと同様、あくまで状況証拠のみで、既に長寿関連が示唆されているものばかりです。
新しい長寿遺伝子を見つけるためには3家族の解析では足りないと思います。あと、日本の場合、老健施設へ行けば100歳前後の高齢者は珍しくありません。本当にこの年齢設定で良いのか、少し疑問に感じています。
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