ビタミンK摂取制限や血液凝固モニタリング不要の心房細動患者向け抗凝固薬 リバロキサバン

New drug found for irregular heart beats

以下は、記事の抜粋です。


不整脈に悩む患者は、現在処方されている薬物よりも使いやすい新薬の恩恵を受けるかもしれない。イギリスでは約800,000人が不整脈を発症しており、健常人よりも血液凝固による脳梗塞のリスクが有意に高い。現在の標準治療薬ワルファリンを新薬リバロキサバン(rivaroxaban)と比較した研究によると、リバロキサバンは、脳梗塞リスクをワルファリンと同程度に効果的に軽減した。

両方の薬物は血液凝固を阻害する。ワルファリンの問題点は、その効力が他の薬物や食事の影響を受けやすいので、ワルファリンを投与された患者は、常に血液凝固能をモニターして投与量を調整する必要があることだ。

今回の研究によると、リバロキサバンでは、凝固能のモニタリングや投与量の細かい調整が要らない。14,000例の脳梗塞リスクが高い心房細動患者に対して、ワルファリンあるいはリバロキサバンを投与する臨床試験を行った結果、臨床的に重要な出血の発生頻度はどちらでも変わらなかった。しかし、致命的な脳内出血については、リバロキサバン群がワルファリン群の約半分と有意に低かった。

心房細動は年齢とともに増加し、65歳以上では約1割の人々が罹患する。著者の一人、エジンバラ大のKeith Fox教授は、「ワルファリンが投与されるべき患者の約1/3が投与されていない。この理由は、ワルファリンの効果があまりに不安定で、モニターや投薬調整が煩わしいからだ。本研究によって、不整脈のある患者に対して、リバロキサバンは従来のワルファリンと同じくらい有効なだけでなく、処方しやすく飲みやすい薬であることがわかった。」という。


元論文のタイトルは、”Rivaroxaban versus Warfarin in Nonvalvular Atrial Fibrillation”です(論文をみる)。ワルファリンに代る血液凝固能モニタリング不要の薬物については、これまでも関連記事でたくさん紹介してきました。Xa阻害薬としては、本論文のリバロキサバン、アピキサバン、ダレキサバン、エドキサバンなどがあり、抗トロンビン薬としては、ダビガトランがあります。

現在日本で、「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」の適応が承認されているのはダビガトラン(プラザキサ®)だけです。エドキサバン (リクシアナ®) の適応は、「下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の予防」で、心房細動についてはまだ申請中です。

本年6月度の病院採用ランキングは、3ヶ月連続でプラザキサがトップとなったそうです(ニュースをみる)。一方、プラザキサを服用した患者で、5人が腸管出血などで死亡したとの報告があった、と厚生労働省が8月12日発表しました(ニュースをみる)。今年3月から8月までに重篤な出血性の副作用が81例、使用患者数は約6万4千人だそうです。この薬は、腎臓から排出されるため、高度の腎機能障害がある患者には禁忌ですが、死亡した5例中1例は腎不全の患者でした。

いずれにしても、これらの新薬に大きな問題がなければ、将来はこれらの薬物が承認され、ワルファリンにとって代るかもしれません。ただ、経済的負担はワルファリンの方がかなり軽いので、すぐにワルファリンがなくなるとも思えません。また、これらの新薬の普及とともに、凝固検査のオーダーはかなり減るものと思われます。

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