4月9日、「薬害を心配するリウマチ専門医」という方から以下のようなコメントをいただきました。原文をそのまま貼り付けています。
日本リウマチ学会ではこのトファチニブの重大な副作用、特に「発がん性」を懸念して、厚生労働省と発売元のファイザーに「要望書」を提出しております。詳細は日本リウマチ学会のHPを見て下さい。安易に投薬されることは、厳に慎むべきと考えます。
そこで、日本リウマチ学会のHPをみたところ、以下のようなお知らせがありました。
日本リウマチ学会からのお知らせ トファシチニブについて
日本リウマチ学会理事会では、トファシチニブの承認申請に対して、その安全性を懸念する観点より資料1のような要望書を本年2月20日にファイザー社に対して提出を致しました。それに対して、ファイザー社より資料2の回答が本年3月14日付けで寄せられました。 一方、本年3月13日に、医薬品第二部会においてゼルヤンツ錠(一般名=トファシチニブクエン酸塩)について審議が行われたことを受け、本年3月25日に厚生労働省より製造販売承認がなされました。 日本リウマチ学会としては、 我が国におけるトファシチニブの適正使用について重大な関心を寄せており、今後とも本剤の適正使用について厳しいモニタリングを 行う所存です。
資料1でリウマチ学会は、用量依存的に重篤感染症のリスクを有していること、長期曝露時の悪性腫瘍発生のリスクや免疫抑制に伴うリンパ増殖性疾患のリスクが上昇する可能性があること、安全性プロフィールに問題をはらむ薬剤を米国よりも広い適応で承認すること、本剤が経口薬であることから医師であれば誰でも処方可能となること、などが問題であると指摘しています。その通りだと思います。
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コメント
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現時点でのゼルヤンツのまとめです。
ヨーロッパでは発売が許可されなかったことも、重大なメッセージと思います。
1) ゼルヤンツは明らかに感染症と悪性腫瘍の発生が多いこと。この点を考慮して、FDAは販売承認予定を3ヶ月延期して、しかも承認用量を10mgから5mgにして、「リスクとベネフィットを考慮して投与するように」と警告した。
2) アメリカでは対象患者もMTXに抵抗性のRAに限定し、薬剤の価格の点からも、投与対象者を実際には生物学的製剤に抵抗性のRAを想定している。
3) ゼルヤンツはNK細胞を著減させるので、このことと癌の発生が関係していると思われる。トファチニブを投与されたマウスではNK細胞が著減し、そのマウスにガン細胞を接種するとガン細胞の大きさがコントロールの数倍になるとの実験結果がある。
4) 日本でつい先日、ゼルヤンツの製造承認がおりたが、アメリカと同一用量である。アメリカ人のRA患者の平均体重は75kg、一方日本人は50k以下であり、この用量どおり服用すれば、アメリカ人以上に感染症や発癌のリスクが高くなることが懸念される。
5) 欧州では、ゼルヤンツのリスクを懸念して、本剤の販売を認可しなかった。
6) 日本での承認は「DMARD無効」であり、特にMTX無効とは言っていない。薬価はまだ決まっていないが、生物学的製剤より安くなれば「日本が一番ゼルヤンツを使いやすい国」となる。
7) RAはその活動性に伴い悪性リンパ腫が多く発生するが、その他の上皮性の癌の発現は決して高くない。しかし、ゼルヤンツを投与すると悪性リンパ腫のみならず、他の上皮性の癌の出現が有意に増えることが、アメリカとヨーロッパで問題になった。
8) TNF阻害作用を有する生物学的製剤やMTXと悪性リンパ腫の発症の関係は否定されている。
9) RAにMTXを投与すると、リンパ増殖性疾患(悪性リンパ腫ではない)が出現することがあるが、多くは投与中止で自然退縮する。退縮しない場合は「RAの活動性に起因した悪性リンパ腫」と診断する。
10) MTXは、RAの治療に使用する通常の投与量では、上皮性の癌の発生は正常人と変わらない。ここがゼルヤンツと決定的に違うところ。ゼルヤンツは悪性リンパ腫のみならず、あらゆる癌の発生を増大させる危険性を有している。
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>薬害を心配するリウマチ専門医さん
コメントありがとうございました。