定期的な勃起は勃起機能の維持に重要である

ペニスも休んでばかりだと錆び付くらしい
以下は、記事の抜粋です。


あくまでもマウスの話なのですが、勃起すればするほど勃起を助ける線維芽細胞を増やし、勃起機能の維持に貢献するようです。

マウスでもヒトでも線維芽細胞はペニスを占める最も多い細胞ですが、線維芽細胞はこれまであまり研究されてきませんでした。しかし、今回発表された新たな研究では、線維芽細胞が担うこれまで知られていなかった勃起での役割がマウス実験で示されました。

カロリンスカ研究所が発見したのは、ペニスの勃起の原動力である血流の調節作用です。研究によると、海綿体の線維芽細胞は血管収縮に携わるノルアドレナリンを回収することでペニスの血管を収縮ではなく拡張へと誘い、ペニスの勃起を支えます。

それゆえ線維芽細胞の数が多いペニスほど勃起に必要な血管拡張に長け、勃起すればするほど線維芽細胞は増えるとわかりました。一方、老化は線維芽細胞を減らしてペニスの血流を滞らせます。

マウスやヒトを含むどの哺乳類の勃起も形態や細胞の配置などさまざまな点でよく似ています。ただし、ヒトのペニスはほかの哺乳類と違って骨がありません。それを鑑みると血流調節はヒトの勃起にはおそらくなおさら重要かもしれません。

老化マウスのペニスの線維芽細胞は少なく、血流低下を示しました。そのことから察するに、ヒトのペニスが老化で勃起しにくくなることは線維芽細胞の減少を一因とするかもしれません。

そうであるなら、性生活などでの定期的な勃起は線維芽細胞を増やして勃起不能を防ぐ効果がありそうです。

目下の勃起不全治療の主流は、シルデナフィル(商品名:バイアグラ)などのホスホジエステラーゼ阻害薬で一酸化窒素の効果を高めて海綿体血管平滑筋細胞の弛緩を促すことですが、多ければ30%の患者はそうしても勃起機能を回復できません。

今回の研究により、勃起の繰り返しはノッチ(Notch)シグナル伝達を抑制することで線維芽細胞が増えること、逆にノッチが活性化したままだと線維芽細胞が減ってペニスへの血流が減ることがわかりました。ですので、バイアグラなどによる既存の治療が手に負えない患者にはノッチシグナル阻害が有効かもしれません。ノッチ阻害薬による勃起不全治療は今後検討の価値がありそうです。

また、線維芽細胞のノルアドレナリン回収に携わる輸送体SLC6A2の発現を増やすことや、移植や何らかの刺激によって線維芽細胞を増やすことなども勃起不全の治療手段となりえそうです。


元論文のタイトルは、”Corpora cavernosa fibroblasts mediate penile erection(陰茎の勃起は海綿体の線維芽細胞を介する)”です(論文をみる)。以下は論文の要約の抜粋です。


陰茎の勃起は、血管拡張時に拡大する小柱状の血管床である海綿体を介しますが、その制御は完全には理解されていません。今回我々は、海綿体の血管周囲の線維芽細胞がノルエピネフリンの利用を低下させることで血管拡張をサポートしていることを示します。陰茎の血流に対する影響は、勃起活動によって調節される線維芽細胞の数に依存します。勃起は線維芽細胞の位置配置を動的に変化させ、Notchシグナル伝達を一時的に下方制御します。Notchの阻害により線維芽細胞の数が増加し、その結果陰茎の血流が増加します。ノッチを継続的に活性化すると、線維芽細胞の数が減少し、陰茎の血液灌流が減少します。勃起を繰り返すと線維芽細胞の増殖が刺激され、血管収縮が制限されますが、加齢により線維芽細胞の数が減少し、陰茎の血流が低下します。私たちの発見は、線維芽細胞による陰茎血流の適応的で勃起活動に依存した調節を明らかにしています。

定期的な勃起は勃起機能の維持に重要である可能性が 、 カロリンスカ研究所の研究者らによるマウスを使った新しい研究で 明らかになった。「勃起の頻度が増加すると、勃起を可能にする線維芽細胞が増加し、逆に頻度が減少すると、これらの細胞が減少することを発見しました」と研究責任者のクリスチャン・ゲリッツは言う。

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