多くの高血圧患者が血圧を上げる薬を服用している
以下は、記事の抜粋です。
米ベス・イスラエル・ディーコネス医療センターのTimothy Anderson氏らが、2009~2018年の米国国民健康栄養調査(NHANES)のデータを解析した結果、高血圧の成人の18.5%が、血圧上昇作用のある薬を服用していることが明らかになった。
そのような薬剤の中で使用頻度の高いものとして、例えば“痛み止め”として知られる非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)が挙げられ、そのほかにもステロイド製剤、抗うつ薬、充血除去薬、抗肥満薬などが高血圧患者に長期間使われていた。これらの薬剤を服用している高血圧患者の中で、降圧薬が処方されていない患者は血圧を十分にコントロールできていないことが多かった。また、降圧薬が処方されている場合は、より高用量が用いられているケースが多かった。
充血除去薬とは、上気道感染症による鼻詰まりを改善する医薬品のカテゴリーだそうです。 成分はプソイドエフェドリンやフェニレフリンなどの血管を収縮させる作用があるαアゴニストですので、血圧上昇作用は当然です。
NSAIDsは、遊離されたアラキドン酸からプロスタグランジン(PG)類を産生する経路の律速酵素であるシクロオキシゲナーゼの働きを阻害することにより抗炎症・鎮痛作用を発揮します。PG類の1つであるPGE2等PGE2等の産生が抑制されると、腎臓の輸入細動脈が収縮し、腎血流量が減少します。その結果、代償的に近位尿細管再吸収が促進されて、Naや水の貯留が進み、血圧の上昇やむくみをきたすと考えられています。
降圧薬を飲んでもあまり血圧が下がらないヒトの場合は、痛み止めを飲んでいないか確認する必要があります。
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