ジェネリック医薬品の体内動態は先発医薬品と異なるか?

4月9日に「一般名処方のすゝめ」を書いたところ、「ジェネリックと先発品は、成分は同じでも吸収などの体内動態は違うだろう」というご意見をいただきました。同じ内容の意見は、「医学処」というサイトにもあります。以下に説明するように、これらの意見は誤りです。

長崎県保険医協会のホームページにジェネリック医薬品のページがあります。ここの生物学的同等性の項からの文章を下に抜粋します。


投与された製剤中の薬物が門脈を経て肝代謝後に体循環血液中に入る割合と、その際の速度を合わせてバイオアベイラビリティという。生物学的同等性試験はこのバイオアベイラビリティについて先発品とジェネリック医薬品を比較評価するものである。

2群の健常者を被験者として、先発品とジェネリック医薬品を交互に服用してもらい、経時的に採血してその薬物の血中濃度を測定する。最大血中濃度をCmax、最高血中濃度到達時間をTmax、と呼び利用速度の指標となる。血中濃度曲線下面積はAUCと呼ばれ、投与薬物量に対し体循環血液中に入る割合の指標となる。同様にジェネリック医薬品を服用してもらい、Cmax、Tmax、AUCを求める。

この両者に統計的に差がなければ効果も同じで生物学的に同等であるものと判断される。血中濃度の推移が同等であれば生物学的効果に差がないとする考え方は米国FDAを始め諸外国でも同様に認められた解釈である。


生物学的同等性試験の結果は、公開されているものもあります(例を見る)。生物学的同等性試験品質再評価の項に書かれている溶出試験に合格することが、ジェネリック医薬品が世に出るために必要な治験です。

以上のように、生物学的同等性試験とは、体内動態の同等性試験です。先発医薬品とジェネリック医薬品は、有効成分が同じだけではなく、吸収などの体内動態も同じです。

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