「海洋マイクロプラスチックの約78%は合成タイヤゴム由来」という話

海洋マイクロプラスチックの大部分は自動車タイヤから発生していることが報告される
以下は、記事の抜粋です。


「マイクロプラスチック」は、川や海に流れた際に魚介類が食べてしまうことがあり、海洋汚染の原因の一つになっています。カリフォルニア大学などの研究チームが、タイヤの製造過程で使用される添加物「6PPD」がマイクロプラスチックとして魚に取り込まれていることを報告したことで、海洋マイクロプラスチックの一部がタイヤから発生していることが明らかになりました。

2020年にカリフォルニア大学のエドワード・コロジェイ氏らが発表した論文では、アメリカの西海岸に生息するギンザケの調査が行われました。これにより、研究チームは弱ったギンザケが「6PPD」という化学物質を取り込んでいることを特定しました。

6PPDはタイヤの製造過程で亀裂や劣化を抑えるために使用される老化防止剤です。6PPD自体はそれほど毒性を持たないものの、大気中のオゾンにさらされると、「6PPD-quinone」という物質に変化するとのこと。6PPD-quinoneが水に溶けると非常に強い毒性が発生し、その結果ギンザケを含む多くの魚が死に至ることが報告されています。

政府組織のピュー慈善信託は2020年に、「海洋マイクロプラスチックの約78%は合成タイヤゴム由来である」との(PDFファイル)研究結果を報告しています。

イギリスの自動車研究機関「エミッション・アナリティクス」は、「自動車1台が1km走行するごとに合計1兆個の超微細なマイクロプラスチック粒子を放出しています」と報告。また、これらの超微細粒子のサイズは100ナノメートル以下であるため、肺を通過して直接血液中に入る可能性があることが指摘されています。イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドンは、「タイヤの摩耗に伴って放出されたマイクロプラスチック粒子が、心臓病や肺の病気、発達障害、生殖障害、がんなどのさまざまな健康被害を起こす可能性があります」と述べています。

マイクロプラスチック粒子の発生源が自動車のタイヤである以上、電気自動車が普及してもこの問題を解決することは困難です。むしろ、電気自動車は従来のガソリン車に比べて重量やトルクが高いため、ガソリン車よりも約20%多くマイクロプラスチック粒子を放出する可能性がエミッション・アナリティクスによって指摘されています。

一方で各国の規制当局はこの問題に対してさまざまな取り組みを行っており、EUでは2022年11月に新たな排ガス規制「Euro 7」を策定しました。Euro 7では、ブレーキやタイヤの摩耗に伴って放出されるマイクロプラスチックの排出が規制されています。

カリフォルニア州の環境規制当局は、今後大気中に放出される6PPD-quinoneを削減するために、タイヤメーカーに対して2024年までに6PPDの代替物質を見つけるよう要求しています。


「海洋マイクロプラスチックの約78%は合成タイヤゴム由来である」という報告が正しく、マイクロプラスチックが本当に悪いものであれば、深刻な問題だと思います。

この記事は、以下に抜粋したエール大学の記事に基づいていると思います。


道路の危険: タイヤによる有害物質汚染の証拠が相次ぐ
研究者たちは、自動車やトラックのタイヤに隠された化学物質、マイクロプラスチック、重金属の有毒なカクテルを明らかにし始めたばかりである。しかし専門家によれば、こうしたタイヤの排出物は大気汚染や水質汚染の重大な原因であり、野生生物だけでなく人間にも影響を及ぼしている可能性があるという。

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