ジンベイザメは寄り添う小魚を守ってくれない

ジンベイザメに寄り添っても安全ではなかった。群がる小魚を食い荒らす魚の大群の存在が確認される
以下は、記事の抜粋です。


西オーストラリア北西沿岸にある「ニンガルーリーフ」では、巨大なジンベエザメが、小さな魚の群れと一緒に泳いでいる姿が目撃されてきた。

そうした魚たちは、ジンベイザメと一緒にいることで外敵から身を守っているのだと考えられてきた。

その代わりに小魚たちは、ジンベエザメの体についている寄生虫などを食べて大きな体をきれいにしてくれる。まさにWin-Winの関係を築いていると。

ところが若いジンベエザメに取り付けられたカメラやダイバーによって撮影された映像では、200匹もの「コガネシマアジ」の大群が、突然ジンベエザメに群がり、ジンベエザメと一緒に泳いでいた自分たちより小さな魚(こちらもアジの仲間)をむさぼり食っている映像がとらえられている。コガネシマアジは肉食性で、成長すると自然界では120cmもの大きさになる。

つまりジンベエザメのそばにいるからといって、小魚たちは決して安全ではないらしいということだ。これまでの定説を覆すような発見だ。

ではなぜ小魚は、襲われる危険性があるジンベエザメに群がり一緒に泳ぎたがるのだろうか?海洋生態学者のクリスティン・バリー氏の説明によれば、小魚はジンベエザメをタクシー代わりにしている可能性が高いという。それだけではない。ジンベイザメは巨大な体に似合わず、主に小さなプランクトンを大量に食べて生きている。そしてそれは小魚にとっても大好物なのだ。つまり小魚はジンベイザメと一緒にいることで、ご馳走にまでありつけると考えられるという。

おっとりで巨大なジンベイザメは自分の意志とは関係なく、その大きな体を様々な思惑を持った魚たちに利用されているようだ。


元論文のタイトルは、”Predation of baitfishes associated with whale sharks at Ningaloo Reef(ニンガルー・リーフにおけるジンベエザメに同行する小魚が捕食される様子)”です(論文をみる)。ジンベイザメは守ってくれません。通説は覆りました。

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