進行肺がんに対する免疫チェックポイント阻害薬療法は2年で十分の可能性

進行肺がんに対する免疫療法は2年で十分の可能性
以下は、記事の抜粋です。


進行肺がん患者の予後は、免疫チェックポイント阻害薬の登場によって大幅に改善した。しかし、進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対して同薬による治療をどの程度の期間、継続する必要があるのかについては明らかになっていなかった。こうした中、新たな研究で、免疫チェックポイント阻害薬による治療開始から2年後の時点でがんが進行していない安定した状態の患者であれば、同薬の使用を中止しても生存期間に影響しないことが示された。

ペンシルベニア大学のSun氏らは今回、全米の電子医療記録データベースを用いて2016~2020年に進行NSCLCと診断された1万4,406人の患者データを収集し、免疫療法の継続期間と患者の全生存率との関連を、2年で治療を中止した患者とそれ以降も治療を継続した患者との比較で検討した。

解析の結果、追跡開始後2年間の全生存率は、治療中止群で79%、治療継続群で81%であった。治療継続群と比べた治療中止群の死亡の調整ハザード比は1.33であり、統計学的な有意差は認められなかった。

長期間の免疫療法が大きな毒性のリスクを伴うほか、患者の負担額も増える傾向にある。免疫チェックポイント阻害薬には、皮疹や下痢、倦怠感などさまざまな副作用のリスクがある。まれにではあるが、同薬による治療によって全身に炎症が起こり、臓器の正常な機能が損なわれることもある。

免疫チェックポイント阻害薬の登場により、肺がん患者の平均余命は基本的に2倍延長し、患者の10~30%ではがんが治癒する可能性もあるという。治療が奏効しているときにその治療を中止することに対してナーバスになる患者や医師がいるが、治療開始から2年の時点で寛解している患者のほとんどは、治療を中止してもその状態が維持されることが多くの研究で示されているそうだ。


元論文のタイトルは、”Association Between Duration of Immunotherapy and Overall Survival in Advanced Non-Small Cell Lung Cancer(進行非小細胞肺癌における免疫療法の期間と全生存期間との関連性)”です(論文をみる)。

以下は、「進行非小細胞肺癌(SCLC)に対する免疫療法の期間は全生存期間に統計学的に有意な影響を及ぼさない」と言う本論文の解説記事の抜粋です。


進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者が2年時点で免疫療法の継続を希望した場合、同じ時点で治療中止を決定した患者と比較すると、統計学的に有意な全生存期間の優位性は得られない可能性があることが、JAMA Oncology誌に発表された。

研究チームは、NSCLCに対する免疫チェックポイント阻害薬(ICI)治療期間と全生存率との関連を評価するため、集団ベースのレトロスペクティブ・コホート研究に着手した。研究チームはまた、ICI治療を2年時点で中止する際の診療パターンを評価しようとした。

研究者らは、電子カルテから得られた縦断的なFlatiron Healthデータベースを用いて、2016年から2020年の間に診断され、フロントラインICI治療を受けた進行NSCLCの成人患者を検索した。700日間の治療を終える前、すなわち約2年前にICIを中止した患者は除外した。

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