冬になると風邪やインフルエンザが流行する理由

「冬になると風邪やインフルエンザが流行する理由」が新たな研究によって明らかに
以下は、記事の抜粋です。


冬になると風邪やインフルエンザといった感染症が流行しますが、その理由には「ウイルスは低温で乾燥した環境で感染力が強くなるから」「ウイルスや細菌が拡散しやすい室内にとどまる時間が増えるから」といった説が挙げられています。ハーバード大学とノースイースタン大学のチームによる研究で「寒くなると鼻にある免疫機能が損なわれる」という新たな生物学的メカニズムが発見され、これが冬に感染症が増える理由かもしれないと研究者らが説明しました。

Cold exposure impairs extracellular vesicle swarm–mediated nasal antiviral immunity – Journal of Allergy and Clinical Immunology
https://doi.org/10.1016/j.jaci.2022.09.037

ウイルスや細菌が人体に感染する経路はいくつかありますが、中でも鼻孔は外部環境と体内の主な接触点の1つであり、鼻孔における免疫反応は感染症を防ぐ上で重要です。Bleier氏らによる2018年の研究では、鼻孔の細胞が病原体を検出すると大量のextracellular vesicle(EV:細胞外小胞)が鼻孔内の粘液に放出され、病原体を取り囲んで攻撃することがわかりました。

EVは細胞より最大20倍も多くの受容体を持っており、ウイルスを攻撃するマイクロRNAも正常な細胞より13倍多いとのこと。Bleier氏は、「EVはおとりとして機能し、吸い込まれたウイルスが細胞ではなくこれらのおとりに付着します」と述べ、EVはウイルスが体に入るのを防いでいると指摘しています。

Bleier氏らの研究チームは、鼻の細胞によるEV放出とウイルスの関係について研究する中で、鼻の内部温度の変化がEV放出にどう影響するのかを調べる実験を行いました。まず研究チームは、健康なボランティアを室内環境からセ氏4.4度の寒い環境に15分間ほどさらすと、鼻孔の温度がセ氏5度も低下することを確認しました。

続いて、この温度低下を鼻組織サンプルに適用して免疫応答を観察すると、細胞から分泌されるEVの量が42%も減少し、EVに含まれる受容体やマイクロRNAの数も半分以下になってしまうことが判明しました。

また、マスクの着用が鼻を直接冷たい空気にさらすことを防ぎ、免疫力を高く保つために役立っている可能性もあるとのこと。Bleier氏は、「マスクはウイルスを直接吸い込むのを防ぐだけでなく、鼻にセーターを着せたようなものです」と述べたほか、Patel氏も「鼻の中を温かく保つことができれば、自然免疫メカニズムがうまく機能するようになるのです。マスクが必要な理由がまた1つ増えたかもしれません!」とコメントしました。


元記事に書かれているように、「これらは試験管内の研究であることに留意が必要」だと思いますが、鼻腔細胞の抗ウイルス活性の低下は、外気温が低い時にウイルス感染が多い理由の1つである可能性は高いと思います。コロナが収まっても風邪やインフルエンザになりたくなかったらマスクをしましょう。

寒冷暴露は細胞外小胞群を介した鼻腔内抗ウイルス免疫に障害を与える。

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