デング熱の免疫持った蚊1万匹放出 ブラジルで予防策
以下は、記事の抜粋です。
デング熱が毎年のように流行するブラジルで、デングウイルスを媒介しない蚊を自然界に増やすことで、人間への感染拡大を防ぐ新たな試みが始まった。ウイルスの免疫を持たせた計1万匹の蚊を放し、感染源の蚊と交配させる計画で、研究者は「画期的な予防法になる」と期待している。
リオデジャネイロの研究所が9月24日、発表した。同研究所によると、蚊を「ボルバキア」と呼ばれる細菌に感染させると、体内でデングウイルスの増殖が抑えられ、人間への感染源にもならないことがわかった。この細菌に感染した蚊と別の蚊の間には、デングウイルスに免疫がある蚊しか生まれないため、将来的にデング熱の感染を抑制できる可能性があるという。
研究所は24日、リオデジャネイロ北部で1回目の蚊を放出。今後3~4カ月かけて1万匹を放し、細菌を持った蚊が自然繁殖するのを待つという。
ブラジルはデング熱の感染が多い国の一つで、これまでも大流行が繰り返されてきた。保健省によると、昨年は約145万人が感染し、674人が死亡した。
昆虫は「自然免疫」しか持たず、「獲得免疫」を持たないので、タイトルの「免疫」をみて驚きました。BBCは仕方がないとしてもGigazineにもかなり負けています。朝日新聞ガンバレ!
Eliminate DengueはオーストラリアのMonash大学が中心的な役割を果たしているプログラムで、ブラジルのリオデジャネイロにあるFiocruz研究所もこのプログラムに含まれています。
ボルバキア(Wolbachia)というのは、下の電顕写真のように、昆虫の細胞の中でミトコンドリアのようにみえる共生細菌の1種で、昆虫ではその約60%に感染が認められるほど広く分布しているそうです。wMelとよばれるボルバキアは、ヒトの細胞には感染せず、蚊からヒトへのデングなどのアルボウイルスの感染を抑制するそうです。
下図のように、ボルバキアに感染したオスと非感染メスとの交配で生まれた卵が発生しない細胞質不和合(cytoplasmic incompatibility)という現象があります。また、オス・メス、またはメスのみがボルバキアに感染している場合は、次世代の蚊にボルバキア感染が受け継がれます。このため、将来的にはデング熱ウイルスを持つ蚊を根絶させることが期待されているそうです。
コメント