統合失調症など5つの精神障害に共通する遺伝子異常――電位依存性カルシウムチャネルの重要性

統合失調症やうつ病など5つの精神障害の一部遺伝子が一致か=研究
以下は、記事の抜粋です。


統合失調症や自閉症、うつ病など5つの精神障害は、一部の遺伝子が一致するとみられるとした研究報告書が、2月27日発行のランセット誌で発表された。一部遺伝子が同一であるとされた精神障害の疾患数としては、これまでで最大。

これまでも、統合失調症と躁うつ病の遺伝子の一部が一致することを示す研究が発表されているが、今回の研究ではさまざまな精神障害の間に遺伝子上の関連性がありそうなことが初めて明らかになった。

論文では、統合失調症、躁うつ病、大鬱病、自閉症、注意欠陥多動性障害の患者約3万3000人を比較調査した。研究者らは、これら5つの疾患に関係する一塩基変異多型に注目し、疾患に関連したいくつかのゲノム領域を特定した。

研究者らは、これらの遺伝子は人口レベルで精神障害のリスクを高めることに関係するが、変異遺伝子を持っている個人が発病するとは限らないとしている。


下論文のタイトルは、”Identifi cation of risk loci with shared eff ects on fi ve major
psychiatric disorders: a genome-wide analysis”です(論文をみる)。

論文によると、5つの精神障害で一致する遺伝子(SNP)として4つの部位が同定されました。注目されるのは、その4つ中の2つが電位依存性L型カルシウムチャネルであるCACNA1CとCACNB2だということです。

これらの結果は、大人になって発症する統合失調症、躁うつ病、大鬱病と子供の時に発症する自閉症、注意欠陥多動性障害のすべてにおいて、電位依存性カルシウムチャネルを介する脳内カルシウムホメオスターシスの制御が重要であることを示しています。このような発見をそれぞれの疾患治療にどのように結びつけるのかが今後の課題だと思われます。

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