学術誌インパクトファクター(IF)、オンライン掲載から印刷版発行までが長いほど上昇

学術誌IF、オンライン掲載から印刷版発行までが長いほど上昇
以下は、記事の抜粋です。


「出版遅延の増加で学術誌IFがかさ上げ」と題する論文がPLOS ONEに掲載された。

学術誌のインパクトファクター(IF)は、科学出版物の質を判断する重要な基準として、機関や研究者の評価に影響を及ぼしてきた。が、批判も多い。雑誌の多くは、印刷版発行に先立ってオンライン掲載されているにも拘わらず、IFは印刷版発行日を基に算出されている。

神経科学誌61誌を分析したところ、過去10年間に、オンライン掲載から印刷版発行までの期間が長くなっていることが分かった。雑誌によって異なるが、長いものでは1年を超えている。オンライン掲載日に基づくmodified IFから、IFは人為的にかさ上げできることが分かる。即ち、当該期間を長くすればよい。IFへの出版遅延の影響を補正すると、ジャーナルランキングも変わる。

論文の索引を引用データベースに付与する場合や、引用メトリックスを算出する場合は、印刷版発行日ではなくオンライン掲載日を基準にするべきだ。


元論文のタイトルは、”Rising Publication Delays Inflate Journal Impact Factors”です(論文をみる)。著者はブラジルのFederal University of Rio Grande do Norteという大学の脳研究所所属ですので、普通の研究者のようです。
インパクト・ファクター(IF)は、直前2年間のデータを使って年に1回発表されます。例えば、2012年のインパクト・ファクター値は、以下のように算出されます。

IFの計算式(2012年版)= A/B
A = 2010年~2011年にある雑誌に掲載された論文が、2012年中に引用された総被引用回数
B = 2010年~2011年にある雑誌が掲載した論文総数

上のIF計算法ではオンラインに掲載された期間は無視されていますので、オンラインと紙の掲載時期が離れれば離れるほどIFが高くなることになります。指摘されれば当然のことだと思いますが、ちゃんと論文にしたところが偉いと思います。

下の図をみると、IF12とされているある雑誌について、オンラインに掲載された時期を掲載された時期として計算しなおすと8ぐらいに落ちてしまうことがわかります。出版社側もこのトリックに気づいているのか、どの社もオンラインと紙掲載の間隔を引き延ばす傾向にあるそうです。

論文の本当の値打ちがIFで変わるはずはありません。それでもまだIFが気になってしまう私が悪いのでしょうか?

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