ミツバチが植物を受粉するように、甲殻類が藻類の交配を手伝っていた
以下は、記事の抜粋です。
海の藻類の受粉を助ける甲殻類
今回、フランス・ロスコフ生物学研究所をはじめとするグループによって調べられたのは、「グラシラリア・グラシリス(Gracilaria gracilis)」という「紅藻類」と、「イドテア(Idotea)」という海の「等脚類」(小型の甲殻類)だ。
植物でも動物でもない紅藻類のオスは、メスに「配偶子(生殖細胞)」を届けるために、それを海流に乗せて流す。配偶子には精子のような鞭毛がなく、自力では泳げないためだ。ところが実験や観察でいろいろ試してみたところ、海流以外にも配偶子の運び屋がいることがわかったのだ。
それがイドテアだ。イドテアが紅藻類のオスに近づくと、ベタッとした粘液でおおわれた配偶子が体にくっつく。配偶子を体につけたイドテアが、今度は紅藻類のメスに近づくと、その体に付着していた配偶子がメスの生殖器に無事届けられる。まるで植物の受粉を媒介するミツバチのようだ。
持ちつ持たれつの関係
もちろんイドテアとてただで手伝っているわけではない。紅藻類は外敵や海流から身を守る隠れ家になるし、紅藻類に付着している珪藻などの小さな生物はイドテアの大好物だ。
そうは言っても、紅藻類の繁殖において、海流が大きな役割を果たしていることは確かだ。だから、こうしたイドテアを介した繁殖がどのくらい一般的なのか、今のところ不明だ。だが少なくともミツバチを介した受粉のような仕組みが海の中でも進化していた可能性はあるようだ。
元論文のタイトルは、”Crustaceans help to fertilize seaweeds, study finds(甲殻類は海藻の受精に役立つことが研究によって明らかに)”です(論文をみる)。
ヒトがこのような自然のバランスを大きく破壊しているような気がします。動画もあります。
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