ゾコーバにしますか?パクスロビドにしますか?

塩野義製薬の新型コロナ治療薬候補・ゾコーバ錠 緊急承認の可否を7月20日に公開で審議へ
以下は、記事の抜粋です。


厚生労働省は薬食審の薬事分科会と医薬品第二部会の合同会議を7月20日に開き、塩野義製薬の新型コロナ治療薬候補・ゾコーバ錠の緊急承認の可否を審議する。同省が13日、発表した。合同会議は公開で開催する。6月22日の医薬品第二部会では同剤の緊急承認に対して委員から賛否両論あり、「さらに慎重に議論を重ねる必要がある」ということでこの日の部会は終了。分科会との合同会議を近く開催して、改めて審議することが確認されていた。

同省によると、薬食審の規定では委員の過半数の賛成があれば承認が了承され、「(承認は)全会一致を求めるものではない」という。

ゾコーバ(一般名:エンシトレルビル フマル酸、開発コード:S-217622)の第2/3相臨床試験のうち、軽症/中等症患者を対象としたPhase 2b partでは、軽症/中等症の新型コロナ患者428例(日本419例、韓国9例)を高用量群(低用量の2倍)、低用量群、プラセボ群に無作為に割り付けた。1日1回、5日間経口投与し、抗ウイルス効果および臨床症状の改善効果を比較した。

主要評価項目に据えた4日目(3回投与後)におけるSARS-CoV-2のウイルス力価のベースラインからの変化量は、高用量群、低用量群ともにプラセボ群に比べて有意な減少を示した。ウイルス力価陽性患者の割合は両用量群ともに10%未満で、プラセボ群との比較でPhase 2a partの成績を上回る減少率となった。しかし、新型コロナの症状合計スコアの初回投与開始から120時間(6日目)までの単位時間あたりの変化量は、プラセボ群に比べ改善傾向を認めたものの、統計学的に有意な差は認められず、主要評価項目を達成しなかった。なお、同試験の集団で特徴的な症状だった呼吸器症状(鼻水または鼻づまり、喉の痛み、咳、息切れ (呼吸困難))の合計スコアは、高用量群、低用量群ともに有意な改善効果が認められた。

6月22日の医薬品第二部会では、「ウイルス量に差が出ている。実効再生産数が小さくなることが期待できる」といった肯定的な意見があった。一方で、「ウイルス量を減らすデータは確かにあるが、臨床症状の改善は示されていない。このようなあいまいな状況で国民がこの薬を使うことをどう考えるのか」など有効性の観点から承認に否定的な意見もあった。賛否どちらの意見が多かったかは明らかになっていないが、同部会では一定の結論を出すまでにも至らなかった。

ゾコーバは塩野義製薬と北海道大学の共同研究から創製された3CLプロテアーゼ阻害薬。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は3CLプロテアーゼというウイルスの増殖に必須の酵素を有しており、同錠は3CLプロテアーゼを選択的に阻害することで、SARS-CoV-2の増殖を抑制するとされる。日本政府は塩野義製薬との間で、承認後速やかに100万人分を購入する基本合意を締結している


既に今年の2月に承認されている経口抗ウイルス薬パクスロビド(ニルマトレルビル錠/リトナビル錠、商品名パキロビッドパック)の成分であるニルマトレルビルは、ファイザーが新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を標的に作った薬で、ウイルスの増殖に必要な酵素であるメインプロテアーゼ(3CLプロテアーゼ)の作用を阻害します。ということで塩野義の薬は2番煎じです。

ニルマトレルビルは、肝臓の代謝酵素CYP3A4で速く分解されてしまうので、CYP3A4阻害薬のリトナビルと一緒に投与されます。このため、オルメサルタン、ジアゼパムなどのCYP3A4で代謝される薬物は血中濃度が上がってしまうので、これらの薬物を服用している場合にはパクスロビドは使えないとされていますが、降圧薬や抗不安薬などは選択肢が多いので、CYP3A4の影響が少ない薬に替えることでパクスロビドが使えるはずです。

この、パクスロビドは、COVID-19による入院リスクを45%低減できることが、「medRxiv」に6月17日発表されました(論文をみる)。論文著者のブリガム・アンド・ウィメンズ病院のScott Dryden-Peterson氏は、「デルタ株の流行時に実施されたパクスロビドの臨床試験では90%の入院リスク低減が認められた。それに比べると劣るものの、同薬剤は依然として、インフルエンザに対するタミフルの効果に匹敵する防御率を維持している」と述べているそうです。

私は、ゾコーバではなくパクスロビドを選びます。

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