グルコサミン内服による変形性膝関節症の予防効果はあまり期待できない

変形性膝関節症へのグルコサミン内服、初のRCTでは予防効果得られず

以下は、記事の抜粋です。


近年、グルコサミンは変形性膝関節症の症状に有効とする報告があるが、ハイリスクとされる肥満の中年女性を対象とした無作為化比較試験を行った結果、2.5年間の追跡で変形性膝関節症の発症に対してグルコサミン摂取の有意な影響は見られず、発症予防の効果は証明されなかった。

50歳~60歳の6691人の女性を臨床医50人が診断し、BMIが27以上、臨床的な変形性膝関節症ではない、MRI撮影が可能、リウマチ疾患がない、最近のグルコサミン摂取がない―というすべての基準を満たした407人(平均年齢は55.7歳、平均BMI=32.4)を被験者とした。

407人は、ダイエット&運動プログラム介入群と非介入群の2群に分かれ、すべての被験者は毎日試験薬1500mg(グルコサミン硫酸塩、またはプラセボ)を服用した。

2.5年のフォローアップ期間で、副作用の発生はプラセボ服用群で合計53人(26%)、グルコサミン服用群で合計65人(32%)。2群間で有意差はなく、症状は腸不快感、高血圧、疲労、胃痛などだった。

ダイエット&運動非介入群(204人)と介入群(203人)に分けた分析で、変形性膝関節症の発症率は、両群間に有意差はなかった。ダイエット&運動介入群でも両群間に有意差は見られなかった。


11月10日から14日までワシントンDCで開催された米国リウマチ学会(ACR2012)で、オランダErasmus Medical CenterのJos Runhaar氏らが発表した内容です。Runhaar氏は、「ハイリスクな肥満の中年女性を対象としたRCT試験の結果、グルコサミン硫酸塩は安全性ではプラセボと同等だったが、変形性膝関節症の発症を予防する効果は証明されなかった」とまとめています。

グルコサミンは、健康補助食品ですので、その効果・効能を明白に提示することは薬事法違反です。しかし、それを示唆する文言を並べることは可能なようで、ネットや新聞の広告では、グルコサミンという言葉が溢れています。

グルコサミンには、軟骨の生成促進作用をはじめとして、消炎鎮痛作用、血小板凝集抑制作用などが報告されています。変形性膝関節症については、有効という報告と否定的な報告の両方があります(情報をみる)。

今回の報告は、既に変形性膝関節症を発症した患者ではなく、ハイリスクとされる肥満の中年女性に対する予防効果を調べたものです。下の協和発酵バイオの宣伝にもあるように、おそらく、グルコサミンをサプリとして摂取する人々の多くは、この予防効果を期待しているものと思います。学会報告レベルですので、まだ断定はできませんが、残念ながら、予防効果はあまり期待できないようです。

協和発酵バイオのサイトより(サイトをみる)。

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