スギ花粉症「舌下免疫療法」効果、遺伝子型で予測可能に 福井大
以下は、記事の抜粋です。
福井大医学部などでつくる研究グループは4月5日、スギ花粉症の根本的な治療法「舌下免疫療法」の効果がどの程度あるかを、患者の遺伝子型から判別する方法を確立したと発表した。従来の10分の1ほどの研究コストで遺伝子型を調べる手法も新たに確立し、今後臨床検査としての活用を目指す。同大の藤枝重治医学部長は「医師が事前に治療効果を患者に説明できるようにすることで、国内のスギ花粉症患者の0.5%ほどしか受けていないこの治療法の普及につなげたい」としている。
舌下免疫療法は、アレルギーの原因物質を含む錠剤を舌の裏で溶かして体に吸収させ、アレルギー反応を徐々に弱める方法。5歳以上が治療でき、保険が適用される。2年以上毎日繰り返す必要があるが、効果が出るかどうかは個人差があり、治療開始前に効果を予測する方法はこれまでなかった。
研究グループは、免疫に関わる「HLA遺伝子」のうち、スギ花粉症の患者に多く見られる特定の遺伝子型に着目。スギ花粉症で舌下免疫療法を2年以上行った患者203人の血液から、特定の遺伝子型の患者を割り出し、並行して203人に「治療効果は出たか」とアンケートを取ることで、特定の型の有無と治療効果の関係を調査した。その結果、舌下免疫療法は、この特定の遺伝子型を持たない患者のほうが効果が出ることがわかった。
これまで、舌下免疫療法が患者に効くかどうかは、少なくとも2年間治療してからでないと分からなかった。長く治療しても効かない場合もあることなどから、同治療法を選択するスギ花粉症患者は限られていたという。木戸口正典特命助教は「遺伝子型を検査することで、自分に効くかどうかの判断材料を医師が患者に提供できる」と意義を強調した。
また、特定の遺伝子型を持つかどうかを調べる新たな検査手法も確立。血液や唾液からDNAを抽出し、そのうち特定の塩基配列を調べることで特定の遺伝子型の有無を確認できる。今後、臨床検査としての実用化を目指す。
一連の研究成果は特許出願中で、今年2月には欧州のアレルギー分野の学会誌「アレルギー」に掲載された。今回調べたのはスギ花粉アレルギーのみだが、現在ダニアレルギー向けの同治療法がどの程度効くかについても調査しており、効果が期待される。
上の記事では、いかにもHLAの遺伝子型で、治療が有効か否かが決まるように書かれていますが、福井大学などのプレスリリースをみると、そうでもないです(プレスリリースをみる)。以下は、そのプレスリリースで使われている図です。
図を見ると、効果が低いというHLA-DPB1*05:01 遺伝子型の保有者でも約73%の患者で舌下免疫療法の効果が高く、非保有者の約89%と有意差あるものの、保有者だから舌下免疫療法を止めるほどではありません。遺伝子型が何であれ重症の花粉症が7割以上良くなるのであれば、やってみようということになるのではないでしょうか。
「遺伝子型で効果が予測可能に!」という見出しは、「針小棒大」です。
私の場合、症例数は少ないですが、スギ花粉舌下免疫療法は全例でほぼ完全に治癒しています。花粉症で悩んでいるヒトには必ず勧めるようにしているので、治療応答性をみるマーカーも速く出回って欲しいと思いますが、このマーカー(DPB1*05:01 遺伝子型)は使えないと思います。
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