チャンピックスなしでも禁煙外来は継続できるか?

チャンピックスなしでも禁煙外来は継続できる
以下は、記事の抜粋です。


バレニクリン(一般名チャンピックス)の出荷再開は、早くても2022年の後半以降──。

一部の製品から発癌性のあるN-ニトロソバレニクリンが社内基準値を超えて検出されたため、ファイザーは2021年6月からバレニクリンの出荷を停止していたが、11月に「出荷再開の方針が定まるまでには相当の時間を要する」との見込みを発表した。出荷停止を受け、禁煙外来を休止する医療機関が相次ぐ中、出荷再開まで外来が止まれば、禁煙意欲のある患者が長期にわたって行き場を失うことになる。バレニクリンなしでの禁煙外来継続は可能なのか。日本禁煙学会理事長の作田学氏に話を聞いた。

作田 喫煙が新型コロナウイルス感染症の重症化リスクを高めることから、禁煙治療を希望する患者は明らかに増えています。そんな状況にもかかわらず、禁煙外来の休止が続出し、学会にも「近場の禁煙外来はどこも受け入れてくれなかった。治療を続けている医療機関はないか」との問い合わせが頻繁に寄せられます。

──もう1つの医療用禁煙補助薬であるニコチネルTTS(ニコチンパッチ)も品薄が続いているようです。

作田 ニコチネルTTSは出荷が止まっているわけではありません。OTCの禁煙補助薬(ニコチンパッチ、ニコチンガム)の流通に支障は出ていません。

──バレニクリンなしで、禁煙外来の運営を続ける方法はあるのでしょうか。

作田 バレニクリンを使わなくても禁煙外来は継続できますし、続けるべきです。バレニクリンは禁煙成功率を上昇させる有益なツールですが、禁煙に必須ではありません。実際、バレニクリンの登場以前は、バレニクリンを使わずに禁煙治療を行っていました。

基本はニコチネルTTSを処方する方法をとります。ただし一般的に、禁煙成功率はバレニクリンの方がニコチネルTTSよりも高いとされているため、その旨は患者にきちんと説明した方がよいでしょう。

ニコチネルTTSも使用不可という状況ならば、医療用禁煙補助薬を使わない禁煙治療を検討します。治療者が必要と判断すれば、OTCの禁煙補助薬使用を患者に勧めることも可能ですが、医療用禁煙補助薬なしの禁煙治療で基本となるのは、認知行動療法(CBT)をはじめとする心理療法です。スキルを習得した治療者が行えば、バレニクリンと同等の効果を期待できます。当学会の古株の会員は、その多くが心理療法を禁煙治療で実践しているので、バレニクリン出荷停止にもそれほど動揺せずに、外来を続けています。

「保険診療における禁煙治療で薬剤の使用は必須ではありません。薬剤を使用しなくても行動療法など、ニコチンの精神依存に対する治療を行うことは効果的であるため、積極的な治療に取り組んでください」という留意事項が追記され、禁煙補助薬を処方しない禁煙治療を行いやすくなりました。

バレニクリンがあると、どうしても薬に頼ってしまいがちですが、本来は心理療法をうまく組み入れて治療すべきです。今回の出荷停止は、“バレニクリン頼み”を改める意味ではよい機会と言えるかもしれません。

──バレニクリン出荷停止で、禁煙外来の継続に頭を悩ませている医師へのメッセージをお聞かせください。

作田 禁煙する意欲はあるのに、禁煙外来休止で行き場を失っている患者のために、バレニクリンなしの禁煙治療に取り組んでいただきたいと思います。たとえ失敗しても、1年もすればバレニクリンが使えるようになるでしょうから、やり直しもききます。気負うことなく、一歩を踏み出してみてください。


最近、禁煙外来を希望しているヒトからバレニクリン(一般名チャンピックス)が出荷停止になっているために禁煙外来はほとんどどこでもやっていないと聞いて驚きました。グーグルで調べてみると以下のように、禁煙外来一時停止や休止のお知らせであふれていました。

確かに、禁煙学会理事長のおっしゃる通り禁煙外来休止で行き場を失っているヒトは多そうです。残念な事に、バレニクリンなしの禁煙治療に取り組んでいるようなクリニックもほとんどないみたいです。

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