ストレス応答転写調節因子は、ストレス応答マップキナーゼがなくてもストレスにより活性化される

A measurable activation of the bZIP transcription factor Atf1 in a fission yeast strain devoid of stress-activated and cell-integrity MAPK activities

この論文は、6月1日にJournal of Biological Chemistryの電子版に掲載されたものです(論文をみる)。

温度、酸化ストレス、重金属、放射線などの細胞に対するストレスを感知し適応するメカニズムは、すべての生物にとって必須のものです。その中心となるのがストレス刺激で活性化されるマップキナーゼとよばれるタンパク質リン酸化酵素です。

ストレスによって活性化されたマップキナーゼは、下流の転写調節因子を活性化してストレス応答に必要な様々なタンパク質の転写を制御すると考えられています。分裂酵母にもヒトと同様に温度や酸化ストレスに応答するマップキナーゼ(Sty1)と転写調節因子(Atf1)があります。これまで、ヒトでも分裂酵母でも、ストレス応答マップキナーゼの下流で働く転写調節因子は、マップキナーゼによるリン酸化だけで活性化されると考えられていました。

我々は、このストレスに応答する転写調節因子の活性を生きたまま非常に高感度に測定するシステムを開発しました。その結果、マップキナーゼをノックアウトしても転写調節因子の活性は少し残っていること、さらに驚いたことに、その残った転写活性が酸化ストレスなどの刺激に応答していることがわかりました。

おそらく、この転写調節因子はリン酸化されるだけではなく、酸化による構造変化をおこすことが、その活性化に重要なのだろうと考えています。

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MAP kinase kinase kinase (MAPKKK)-dependent and -independent activation of Sty1 stress MAPK in fission yeast.

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