日本糖尿病学会 ビグアナイド薬の適正使用に関する”Recommendation”を発表

日本糖尿病学会 ビグアナイド薬の適正使用を勧告

以下は、記事の抜粋です。


日本糖尿病学会の「ビグアナイド薬の適正使用に関する委員会」はこのほど、ビグアナイド(BG)薬の適正使用に関する「Recommendation」を発表した。BG薬の投与患者における乳酸アシドーシス症例を検討した結果、▽腎機能障害患者(透析患者を含む)▽過度のアルコール摂取、シックデイ、脱水などの患者▽心血管・肺機能障害、手術前後、肝機能障害などの患者▽高齢者――の特徴が認められたと指摘。禁忌や慎重投与となっている事項に違反した事例がほとんどだった。

また、指摘した特徴が、投与量や投与期間に一定の傾向は認められないことも報告。低用量の症例や、投与直後、数年後に発現した症例もあったとした。

腎機能障害患者については、メトグルコを除くBG薬では禁忌とされている。メトグルコは、中等度以上の腎機能障害では禁忌で、SCr値(酸素法)が男性1.3mg/dL、女性1.2mg/dL以上の患者には投与を推奨しないことを明記した。高齢者に関しては「SCr値が正常範囲内であっても実際の腎機能が低下していることがあるので、eGFRなども考慮して腎機能の評価を行う」よう求めた。

過度のアルコール摂取や脱水などの患者については、注意・指導が必要な状態については禁忌。心血管・肺機能障害などの患者に関しては、心血管・肺機能障害、手術前後(食事制限のない小手術除く)は禁忌で、肝機能障害についてはメトグルコを除き禁忌。メトグルコは軽度~中等度までは慎重投与であることを明記した。

高齢者については、メトグルコ以外は禁忌。メトグルコについては、「慎重投与である」とし、「特に75歳以上の高齢者ではより慎重な判断が必要であり、原則として新規患者への投与を推奨しない」などと注意喚起した。


メトグルコ®という薬の成分はメトホルミンです。他にも、メルビン®というメトホルミン製剤があるのにどうしてメトグルコだけがOKで他は禁忌なのでしょうか?

メルビン®はメトグルコ®の先行品で、メデット®、グリコラン®などの後発品があります。日本ではそれまで、メルビン®の最大投与量が750mg/日(1錠250mg)、高齢者や軽度腎機能障害者にも投与禁忌とされてきました(今でも)。一方、欧米ではこの薬の規格はグルコファージ®500mg錠、850mg錠で、最大投与量も2550mg/日です。本剤は用量依存性に効果を発揮する薬ですので、750mg/日以上増量できない問題点が内外から指摘されていました。

日本でメルビン®などのメトホルミン製剤投与が制限されているのは、1970年代に同じビグアナイド剤の一つである「フェンフォルミン」で乳酸アシドーシスという重大な副作用が発生し、製造中止になったためです。しかし、1990年代にメトホルミンの大規模臨床試験が行なわれ、この薬の安全性と有効性が広く認められました。

大日本住友製薬は、早くメトホルミン高用量製剤の承認を得るために、高用量で使った臨床データが豊富なグルコファージ®を輸入し、新薬として治験承認申請をしました。その結果、現在の歪なルールができたそうです。

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