以下は、記事の抜粋です。
肺がん検診で胸部X線検査を受けた人の4年後の生存率は、一度も受けたことがない人の場合とほとんど変わらないとする調査結果が、Journal of the American Medical Association(JAMA)11月2日号に掲載される。
ミネソタ大のMartin Oken博士の研究チームは昨年、肺がんの生存率はX線検査よりCTスキャンを受けた場合の方が高いとする研究結果を追跡調査した。
研究の対象となったのは15万人で、13年間にがんが発見された人は「胸部X線検査を受けたグループ」で1696人、「受けなかったグループ」で1620人と、前者の方が多かったが、その後4年以内に死亡した人は前者が1213人、後者が1230人と顕著な違いは見られなかった。
上記の結果は、胸部X線検査を受けた方ががんを発見しやすいものの、生存率にかかわるほど早期に発見されるわけではないことを示唆している。
昨年には、ヘビースモーカーとかつてのヘビースモーカーの肺がん死亡率は、X線検査の場合よりCTスキャンを受けた場合の方が20%低かったとする全米規模の調査結果が報告されている。胸部X線検査では肺を一方向からしか見ることができないが、CTスキャンでは7~15秒で胸部全体を多方向から見ることができる。
元論文のタイトルは、”Screening by Chest Radiograph and Lung Cancer Mortality”です(論文をみる)。過去においても、同様の臨床試験が行われ、その中には年1回の胸部X線検査を推奨するものもありました。しかし、これらの試験はすべて小規模だったので、今回の大規模ランダム化試験が行われたそうです。
日本の肺がん検診ガイドラインでは、非高危険群に対する胸部X線検査は、推奨グレードBとなっていて、「死亡率減少効果を示す相応な証拠があることから、対策型検診及び任意型検診における肺がん検診として、非高危険群に対する胸部X線検査、及び高危険群に対する胸部X線検査と喀痰細胞診併用法を推奨します。ただし、二重読影、比較読影が必要です。」と書かれています。
一方、低線量の胸部CTについては、推奨グレードIとなっていて、「低線量の胸部CTによる肺がん検診は、死亡率減少効果の有無を判断する証拠が不十分であるため、対策型検診としては勧められません。」と書かれています。変わるかもです。
私の身近にも、4月の定期健診の胸部X線検査で何も指摘されず、8月にステージⅢbの肺がんがみつかった例があります。組織は扁平上皮がんでした。ヘビースモーカー(高危険群)のヒトはCT検査を受けた方が良いと思います。
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