潰瘍性大腸炎、患者の90%が持つ自己抗体を発見
以下は、記事の抜粋です。
潰瘍性大腸炎(UC)は、その発症に免疫系の異常が関連していると考えられているが、原因はいまだ解明されておらず、国の指定難病となっている。京大の塩川助教らの研究グループは3月9日、UC患者の約90%に認められる新たな自己抗体を発見したことを発表した。現在、この自己抗体を測定する検査キットを企業と共同開発中。
本研究は、UC患者112例と対照患者165例が登録された。UCは、症状、内視鏡所見、組織学的所見、および代替診断の欠如の組み合わせによって診断。23の組換えインテグリンタンパク質を使用して、UC患者と対照患者の血清に対して酵素免疫測定法を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・スクリーニングにより、UC患者はインテグリンαVβ6に対するIgG抗体を持っていることが明らかになった。両群では、UC患者の92.0%(103/112例)と対照患者の5.2%(8/155例)が抗インテグリンαvβ6抗体を持っていた(p<0.001)。
・UCに対する抗インテグリンαVβ6のIgG自己抗体における感度は92.0%、特異度は94.8%だった。
・抗インテグリンαVβ6抗体価は、疾患の重症度と一致し、IgG1が主要なサブクラスだった。
・免疫蛍光法により、結腸上皮細胞におけるインテグリンαVβ6タンパクの発現が示され、免疫沈降法が、UC患者の結腸粘膜におけるインテグリンαVβ6へのIgG結合を明らかにした。UC患者のIgGは、インテグリンαVβ6-フィブロネクチンの結合を阻害した。
感度も特異度も高く、抗体価と重症度が一致、病巣である結腸上皮にも抗原と抗体が認められているという結果は、記事に書かれているように、高い感度と特異性を備えた潜在的な診断バイオマーカーとして役立つ可能性があると思います。さらに治療にも結び付くことを願います。
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