世間が知らない「トラックが路上駐車をする理由」
以下は、記事の抜粋です。
これまでにも折に触れてトラックドライバーの「路上駐車問題」は取り上げてきたが、その度に世間からは「言い訳するな」「路駐を擁護するのか」という声が多く届く。道路脇やゼブラゾーンなどに駐車しているトラックに、乗用車やバイクが追突する事故が相次ぐ昨今。そのニュースを目にするたび、底知れぬ憤りを感じる。その矛先は、路上駐車していたトラックドライバーではない。トラックが路上駐車せねばならない現状を一向に変えようとしない国や荷主に対してだ。
トラックドライバーに「延着」(指定時間に遅れて到着すること)が許されないことはよく知られているが、「早着」(指定時間より早く入構すること)も許されていないということは、世間にはあまり意識されていない。他業種においても、アポの時間ちょうどに向かうことは当然ではあるのだが、彼らトラックの場合、時間通りに着いた後、そこからさらに数時間、時には1日中、他のトラックの積み降ろしが終わるのを待たされることがあるのだ。「近所迷惑になるから」「混雑緩和のため」という理由で、荷主の敷地周辺ですら待機が禁止されるケースも少なくない。こうした荷主都合主義が、トラックドライバーの「労働環境」と「路駐」に大きく影響しているのである。
路上駐車をしないといけない事情をTwitterで募集したところ、多くの現役トラックドライバーからの悲痛な声が集まった。
「荷主への入庫予約は、携帯から3キロ圏内でないとできない。場内待機場所がないので場外待機。混雑防止と謳ってますが、3キロ圏内に待機できる場所などありません。これは路駐しろとやんわり言ってることと同じ」(30代食品系長距離)
「路駐はなくなりませんね。積み下ろしする倉庫はほとんどトラックの待機場がない。倉庫は5階建てでも、その分の待機場は少ない。最初から路駐前提で作ったのでは」(50代大型長距離)
「付近待機禁止。呼ばれたらすぐ入場。『○分目指して入ってください』と言われたら、もはや路駐しないと無理です」(40代精密機械長距離)
また、トラックドライバーには、世間に知られていない「守らねばならないルール」が多くあるのも、路駐の原因の1つになっている。中でも、「4時間走ったら30分の休憩」や、その日のうちに帰れない長距離トラックドライバーに課せられる「翌日勤務までの8時間以上の休息期間」などは、本来トラックドライバーに休憩を取らせるために国が定めた、運送企業への労基上のルールであるにもかかわらず、トラックの駐車場所がないがために、結果的にドライバーの首を絞めているという皮肉な状態になっているのだ。
言いたいのは、「トラックドライバーとて路上駐車したくてしているわけではない」ということだ。場所を選ばず路駐をするトラックにも非はあるが、路駐をさせてしまっている国や荷主には、果たして責任はないのか。トラックドライバーが道路上で仮眠を取らずに済む日は、やってくるのだろうか。
神戸にも埋め立て地の工場街に近く、道幅の割に交通量が少ない道で非常に多くの長距離トラックが止まっているところがあって以前から不思議に思っていました。この記事をみて理由が分かったような気がします。我々の生活を支えてくれている長距離トラックドライバーの皆さまが快適に働ける環境が改善されることを願います。
コメント