米FDAがメラノーマ治療薬を承認=第一三共、ロシュグループと共同販促
以下は、記事の抜粋です。
第一三共は8月18日、米FDAがメラノーマ治療薬「ゼルボラフ」(一般名ベミュラフェニブ)の製造販売を承認したと発表した。ゼルボラフは第一三共が今年3月に買収した米製薬ベンチャーのプレキシコン社が開発。2週間以内にロシュグループのジェネンテック社が米国で発売する予定。
第一三共は米国での共同販促権を有しており、ジェネンテック社から売り上げに応じたロイヤルティーなどを得るという。
ベムラフェニブ(Vemurafenib)は、以前の記事でPLX4032/RO5185426として紹介した薬物です。メラノーマの40から60%において、BRAFというマップキナーゼ・キナーゼ・キナーゼに変異があります。また、BRAF変異の90%は、600番目のアミノ酸であるバリン(V)がグルタミン酸(E)に変化しています(V600E変異とよぶ)。
この変異によって、下流のマップ・キナーゼ経路が常に活性化された状態になり、細胞増殖が止まらなくなります。ベムラフェニブは、このBRAF活性を抑制します。ベムラフェニブをV600E BRAF変異を有する転移性メラノーマ患者に用いたところ、大部分の患者で腫瘍の完全あるいは部分的退縮が認められたそうです。
ベムラフェニブ(Vemurafenib)は知っていましたが、創薬したベンチャーのプレキシコン社を第一三共が買収したとは知りませんでした。これも円高の影響でしょうか?こうした路線が成功したりすると、ますます日本での創薬研究は苦しくなりそうです。
いずれにしても、これでベムラフェニブ(ゼルボラフ®)もイピリムマブ(Yervoy®)もアメリカでは承認されました。アメリカのメラノーマ患者にとっては、とても明るいニュースだと思います。
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