以下は、記事の抜粋です。
ブドウ糖の濃度に応じて光る強さが変化する特殊なチューブをマウスの耳に埋め込み、血糖値を継続して4カ月以上測ることに成功したと、東京大生産技術研究所の竹内昌治准教授らが8月1日付の米科学アカデミー紀要電子版に発表した。
将来、人に応用できれば、糖尿病患者が採血せずに毎日の血糖値を管理したり、糖尿病予備軍を把握したりするのに役立つとしている。
竹内准教授らは、ポリアクリルアミドというゼリー状の物質に、ブドウ糖があると光を出す別の物質をくっつけた。体内に炎症防止の特殊なポリマーを混ぜ、直径約1ミリのチューブに加工。マウスの耳に埋め込んだ。
元論文のタイトルは、”Long-term in vivo glucose monitoring using fluorescent hydrogel fibers”です(論文をみる)。
研究グループはこれまでもグルコースを感知して蛍光を発するセンサーを開発してきたそうです。今回の論文での改善点は、蛍光センサー物質をビーズ状ではなく、繊維状にしたことと、センサーをポリエチレングリコール(PEG)でコートしたことのようです。繊維状にしたことで、組織に留まりやすく、切ることで簡単に量を調節でき、外科的処置なしに簡単に組織から除去できるという利点があります。また、PEGでコートすることで免疫細胞の攻撃を免れ、炎症をおこしにくい利点があります。
下の写真のように綺麗に光ります。また、組織に注入して140日経過した後でも、安定して血糖値がモニターできるそうです。HbA1cが長期間の血糖値を反映するマーカーとして普及しているので、このようにして血糖値を長期モニターする臨床的意義がどの程度あるのかわかりませんが、実験としては非常におもしろいと思いました。採血せずにグルコース負荷試験などができるのは、朗報かもしれません。
血糖値に応じて光る強さが変わるチューブを耳に埋め込んだマウス
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