教授ら330人、不正経理の疑い 業者に預け金7億円超――朝日の特ダネ?

教授ら330人、不正経理の疑い 業者に預け金7億円超

以下は、記事の抜粋です。


関東を中心とした計約60大学・短大の教授ら約330人が、出入り業者に研究費を預ける不正経理をしていた疑いがあることが、朝日新聞が入手した業者の内部資料でわかった。研究費には国などの公金も含まれるが、預け金の総額は7億円を超える。朝日新聞の取材を受け、一部の大学は調査委員会を立ち上げた。資料に名があった東工大の副学長は28日、10月の予定だった次期学長就任を辞退した。

朝日新聞が入手したのは、精密機器や実験器具を大学に納入している東京都内の精密機器卸会社が、各教員との取引を記した「預かり金明細書」など。教員側からある時期に一定金額が入金、プールされ、その後、機材購入や設備修理にあてられた取引が記載されていた。入金の際は、架空請求書が大学側に提出されたという。

研究費を使った物品購入は、原則として取引ごとに大学への申請などの手続きが必要。預け行為は使途をチェックできず、私的流用や目的外使用の温床になりやすいことから、大半の大学が内規で禁じている。


この記事に関して、はてなブックマークに寄せられて人気のある(多くの読者の支持を得た)コメントを以下に紹介します。「預け金」に関する私の意見は、関連記事に書いています。

●基本的に個人的な利益にはつながらない不正な手続きが頻繁に行われる場合、本来業務の仕組みにそれなりの欠陥があるはずだ。そこを改善しない限り再発防止にはつながらない。

●今朝新聞で読んで萎えた。理系大学を卒業してれば単年度予算の悪弊は誰でも知ってること。「入手した業者の内部資料で分かった」とかドヤ顔で言われても。メディアが社会に問いかけるべき問題は制度の方でしょう?

●予算を使い切らないと次の年度から減らされるし、かといって大きい機材を買うには足りないし。年度末に試薬やらキットやら大量に買ってたけど、繰越しできるようにした方がずっとマシなのにと思ってた。

●やっちゃいけないことだとわかってはいるけど、非常時のために確保しておきたいって気持ちもわからなくはない。科研費3割カットかも?なんて状況じゃなおさら。私的流用ってわけじゃないだろうし…うーん…

東工大の副学長が7月28日、10月の予定だった次期学長就任を辞退したのはこれが原因だったのでしょうか?関連記事に書いたように、「不正経理」の原因の一つは単年度予算だと思います。このようなシステムの欠陥が学内抗争に利用されていないことを祈ります。

実はこのような問題を解決するために、国のシステムは少しずつ変わり始めています。本年4月28日、「独立行政法人日本学術振興会法の一部を改正する法律」が施行され、日本学術振興会に新たに設ける学術研究助成基金(基金)により研究費助成を行う「学術研究助成基金助成金」が新設されました(説明をみる)。

今回の改正により、会計年度にとらわれない契約が行えるとともに、柔軟な執行が可能となることが期待されます。平成23年度の対象は、基盤研究(C)、挑戦的萌芽研究、若手研究(B)の平成23年度新規採択課題です。今後は、大型の予算にもこのような方式が拡大されることを期待します。

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不正経理と単年度予算

コメント

  1. あ* より:

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    この件は、産官学協同のガイドラインがないがゆえに生じている問題の一部と考えます(企業も不正と知りつつ協力)。産官学協同なしに現実問題として大型プロジェクトは動きようもないのに「臭いものにフタ」してきたからこそ、全部、隠蔽されて原子力のような問題も起きました。産官学協同についてルール作りをすべきときです。真当なルールがないのに「人間性」とやらを当事者に問うてバッシングしても意味がありません。素人かつ部外者なので勝手なことを書き、失礼しました。

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