以下は、記事の抜粋です。
女性兵士は男性兵士と同等に戦闘によるストレスに耐えられることが、イラクとアフガニスタンで任務についた退役軍人を対象にした調査で明らかになった。
「ジャーナル・オブ・アブノーマル・サイコロジー」に発表された同調査では、女性は男性よりも戦闘による心的外傷を受けやすいとする定説に反し、女性兵士が受けた戦闘によるストレスや戦闘派遣後の心の問題は、男性兵士と同程度だったという。
研究の主執筆者で、米国立PTSDセンターの退役軍人担当部門のドーン・ボート氏は、今回の調査結果を踏まえ、「さらに現代の戦闘における予想不可能なゲリラ戦術を考慮すると、女性兵士を地上戦から外す意義は薄れている」との見解を示した。
ボート氏は、女性兵士が男性兵士と同様の訓練を受けていることが女性兵士の「ストレス耐性」を裏付けている可能性があるとの見方を示したほか、戦闘そのものが兵士にとって等しく危険であり、性別を超えた部分での影響が性別による違いを上回っている可能性があるとの考えを示した。
研究チームは、国防総省の調査データ595人分を分析。このうち女性は340人だった。戦闘によるストレスは、敵からの攻撃や武器の使用、戦死者の目撃、身の安全に対する不安、禁欲的な生活などから測定した。男性兵士は女性と比べて戦闘への参加や、困難な生活を余儀なくされる機会が多かったものの、結果に影響を与えるほどではなかったという。また男性兵士は、薬物を乱用する傾向が若干強かった。
元論文のタイトルは、”Gender differences in combat-related stressors and their association with postdeployment mental health in a nationally representative sample of U.S. OEF/OIF veterans.”です(論文をみる)。
よく似た内容の記事が2008年2月の日経ビジネスにありました。
以下に抜粋を紹介します。
米国では、あらゆる分野に女性が進出している。女性の大学教授は、理系にも多いし、ハーバード大学のドリュー・ギルビン・ファウスト学長に代表されるように、一流大学の学長も女性が珍しくなくなっている。
一番驚いたのは、軍隊にまで女性の進出が見られたことだ。イラク戦争の前線にも女性の姿がある。彼女たちの業務は多岐にわたる。看護師、輸送トラックの運転手、そして戦闘機のパイロット。いずれの仕事も死と隣り合わせだ。パイロットは、もし撃ち落とされて捕まったら、自分がレイプされて殺されることを覚悟している。
これまで軍隊が女性を受け入れなかったのは、敵に性的虐待を受ける可能性を考慮したためである。ところが当の女性兵士たちは、こうした配慮を歓迎しない。本書には「女性兵士たちは、自分の肉体が男性のそれより大事とは思っていない」という記述が、繰り返し登場する。皆、女性であることを理由に特別扱いされたくないのだ。
なぜ米軍で女性の進出が起きたのか。「優秀な人材を確保するために、男性だけでなく女性にも門戸を開くべき」という考えがある。この発想はグローバル企業の人事担当役員と全く変わらない。軍隊でも、男性だけにこだわっていては能力のある人を採用できなくなるというのだ。こうして女性の進出は、好むと好まざるとにかかわらずあらゆる分野に及んでいく。
日本の場合、看護関係を除けば女性の大学教授は理系でも文系でも少なく、慶応で臨床系講座初の女性教授が誕生したことがニュースになるレベルです。
「今は、ジェンダーレス、エイジレスや!女を教授にせなあかん。」と言いながら、入試科目での数学や理科の配点を増やして女子学生を減らそうするような人はもういないと思いますが、女性や若手の男性を優遇するような大きなグラントができても、アカデミアの高齢男性支配はむしろ進んでいます。
ボスの周辺にたむろしない女性や若手のPIには、まだまだ「戦闘ストレス耐性」が要求されるのが日本の大学だと思います。
コメント
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かつて米国行きを考えたとき、あちらに行って働きながらの場合、身体的な事情によって不可抗力で就労できないという意味で2、3日病欠を取って出産するのが普通と聞きました。まあ、2、3日病欠なんてことは性別によらず起こることなので、それで済むならば、そうしたからと言って社会的に何ら不利な扱いは受けないで済むのは当然です。それを自分ができるか?自問すると、私は自分の体力にそこまでの自信はありませんのでパスしました。米国標準では、日本人女性は、ほぼ全員「虚弱」と判定されるのではないでしょうか。日本人は性別によらず、相対的に華奢で虚弱(← 「強い人」から見ると「劣等」な民族)なのでしょう。日本の大学では work–life balance を何とかしないと、「ボスの周辺にたむろしない女性や若手のPIには、まだまだ『戦闘ストレス耐性』が要求される」ことでしょう。しかしながら、研究上の「成果」で過当競争を強いられているのが現状であり、 work–life balance どころでないのはご存じのとおりです。教職員組合、頑張ってくださいねとしか言いようがありません。