心房細動へのアピキサバン(apixaban)、脳卒中リスクを抑制

Apixaban in Patients with Atrial Fibrillation

以下は、論文要約の抜粋です。


背景:ビタミンK阻害薬は、心房細動患者において脳卒中を予防することが示されている。しかし、ビタミンK阻害薬治療に適していない、あるいは望んでいない患者は多く、このような患者は脳卒中のリスクが高い。新規Xa阻害薬であるApixabanは、このような患者にも治療薬として使用できる可能性がある。

方法:二重盲検試験において、心房細動があり脳卒中リスクは高いがビタミンK阻害薬治療には適さない5599症例を、apixaban(5mg 2回/day)、あるいはアスピリン(81から324mg/day)に振り分け、apixabanの優位性を検討した。主要転帰は、脳卒中あるいは全身性塞栓症の発症とした。

結果:試験前、40%の患者はビタミンK阻害薬を使用していた。データ安全性監視委員会は、apixabanのベネフィットが明らかなので、試験の早期終了を勧めた。アスピリン群に比べてapixaban群では、脳卒中や全身性塞栓症の発生が少なかった(113件対51件、比率では3.7%/year対1.6%/year)。死亡率も、apixaban群の3.5%/yearに対して、アスピリン群は4.4%/yearだった。重大な出血等のリスクも有意に増加しなかった。一方、大出血は44件対39件、頭蓋内出血は11件対13件だった。

結論:ビタミンK阻害薬治療に適さない心房細動患者において、apixabanは大出血あるいは頭蓋内出血のリスクを有意に増加させることなく、脳卒中あるいは全身性塞栓のリスクを減少させる。


アステラス製薬は2月15日、抗Xa剤ダレキサバンについて、術後静脈血栓塞栓症(VTE)予防の適応での国内申請を取り下げたと発表しました。医薬品医療機器総合機構から新たな追加試験を要求されたことがその理由とされています(記事をみる)。

ダレキサバンは、アステラスが開発中の経口抗Xa剤で、昨年9月にVTE予防の適応で国内申請を行っていました。VTE予防の後には、本論文のapixabanと同様に心房細動を対象とした脳梗塞予防の適応で、海外展開もめざしていました。要求された追加試験は、有効性や安全性に関連するものではないということですが、このニュースを受けてアステラスの株価が下がりました。

以前の記事で書いたように、タケダの抗Xa剤「TAK-442」は第2相で有効性が得られませんでした。このように、多くの抗Xa剤が開発されていますが、すべてが生き残るとは思えません。上の論文をみると、今のところapixabanは大丈夫のようです。

ビタミンK阻害薬(ワルファリン)に代る抗凝固薬としては、抗Xa剤だけではなく、ダビガトランのような抗トロンビン薬もあります(記事をみる)。近い将来、一気に選択肢が増えることになりそうです。

関連記事
1. 納豆食べても大丈夫!ワルファリンに代る脳卒中予防の新薬ダビガトラン(商品名:プラザキサ)承認
2. 次世代経口抗凝固薬としてのXa阻害薬、ダレキサバン(YM150)とエドキサバン(DU-176b)
3. タケダの新規経口抗Xa剤「TAK-442」‐海外第II相試験で有効性得られず

コメント

タイトルとURLをコピーしました