以下は、記事の抜粋です。
単語などの暗記物は、本番の試験に臨む前に予備の小テストを受けた方が記憶が確かになると、米ケント州立大(オハイオ州)のキャサリン・ローソン准教授らが10月15日付の米科学誌サイエンスに発表した。学生118人に単語を覚えてもらう実験を行った結果、小テスト中に単語を思い出そうと苦心して、ヒントをつかむと、本番の試験でも思い出しやすくなるという。
実験では、学生を小テストを行うグループと行わないグループに分けた上で、東アフリカのケニアなどで使われるスワヒリ語の単語48個と対応する英単語を覚えてもらい、試験した。
例えば、雲を意味するスワヒリ語の「WINGU」を見て、英語の「CLOUD」と回答する場合、小テストで「発音が英語のWING(翼)に似ていた。翼があるのは鳥、鳥は雲の中を飛ぶ」と連想するヒントをつかむと、本番の試験で思い出しやすくなった。小テストを行わないグループに比べると、正解率が最大で2倍程度高かったという。
元論文のタイトルは、”Why Testing Improves Memory: Mediator Effectiveness Hypothesis”です(論文要約をみる)。
小テストは単に個人の記憶力を評価するためだけではなく、記憶力を実際に向上させていることがわかっているそうです。
研究者らは、記憶の対象となる”target”に結びつく手がかりとしての言葉、フレーズ、概念などの頭に浮かぶヒントのことを「メディエーター」と定義しています。彼らは、テストの際に用いるメディエーターは、単に学習する際に用いるメディエーターよりも効果的に記憶され活用される可能性が高いという仮説を立てました。これを”Mediator Effectiveness Hypothesis”と呼んでいます。
この仮説を検証するために、研究者らは118名の学生に「wingu-cloud」のようなスワヒリ語と英語が対になった48組の単語を提示しました。最初に学習する期間では、その外国語の単語にスペルか発音が似ており、英語のターゲットに意味的に関連があるメディエーターを考案するよう学生らに指示しました。たとえば、先に挙げた「wingu-cloud」であれば、メディエーターは「wing」です。
記憶の過程の途中で小テストを実施した学生の方が、実施しなかった学生よりも最終テストの成績が良かったそうです。また、最初の小テストで自ら考案したメディエーターを記憶するよう指示された学生は、成績にかなりの改善がみられたそうです。
私の学部では、数年前のカリキュラム改革で学生の試験の回数をかなり減らしました。この記事を読んで学力低下が心配になってきました。
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