温室の天窓誤って開放 遺伝子組み換えイネ栽培の研究所

温室の天窓誤って開放 遺伝子組み換えイネ栽培の研究所

以下は、記事の抜粋です。


農業生物資源研究所は9月15日、遺伝子組み換えイネを栽培している温室の天窓が、一時開放されていたと発表した。同研究所は、敷地内で実ったイネを遺伝子検査して外部への影響の確認を急いでいるが、温室内は下から上への空気の流れが少ないため、花粉が外部に出た可能性はほぼないとみている。

同研究所によると、9日に高さ約4メートルにある天窓が幅約4メートルにわたって開いているのが見つかった。14日にも再び開いていた。天窓は自動開閉式。温室へはカードキーで入室するため部外者の侵入は考えられず、職員が操作を誤った可能性もあるという。


関係法令としては、「研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令 (平成16年 文部科学省・環境省令第1号)」というものがあり、執るべき拡散防止措置の内容、確認手続きなどが定められています(関連サイトをみる)。

この所謂「二種省令」に拡散防止措置の内容として、以下のように書かれています。


●実験室の窓等については、昆虫等の侵入を防ぐため、閉じておく等の必要な措置を講ずること。
●排気設備については、組換え植物等の花粉等が飛散しやすい操作をする場合には、実験室からの排気中に含まれる当該組換え植物等の花粉等を最小限にとどめるものであること。


遵守しない場合は、「日本の国内法に対する明らかな違反」です。しかし、文言をよくみると、「最小限にとどめるもの」とか「措置を講ずる」などのマイルドな表現になっています。

ところで、農業生物資源研究所のプレスリリースをみると、「念のため」、周辺への花粉飛散による交雑の有無についてモニタリングを実施したそうです。具体的には、研究所構内8カ所;遺伝子組換え温室から最短で約70m、最長で約400m)から400サンプルを収集し、遺伝子組換えイネにのみ存在しているマーカー遺伝子を特異的に検出することができるPCR法により、交雑による遺伝子拡散の有無を検定したそうです。

イネの受精の時期は、7月の終わりから8月の初め頃ですので、交雑を疑うということは、この頃にも天窓が開いていたと考えたのでしょうか?そうだとしても「一時開放」であることには間違いないと思います。「常態化」と書かれるのと印象はかなり違いますね。

以下のような記事もあります。

遺伝子組み換えマウス:2匹逃走で厳重注意

以下は、記事の抜粋です。


文部科学省は9月10日、製薬会社「協和発酵キリン」の研究所で遺伝子組み換えマウスが逃走した可能性があるとして、同社を厳重注意処分したと発表した。8月11日までに、同研究所「東京リサーチパーク」研究棟のケージで飼育していた遺伝子組み換えマウス計644匹のうちメス2匹がいないことが分かった。同省は、マウスに人や環境への影響はなく、免疫機能が抑制されているため死んでいる可能性が高いとみている。


耐性菌を出した病院について岩田さんが言っている話を思い出しました。


新聞などで「○○大学病院で耐性菌」「○○病院でMRSAの可能性」などと報じられ、耐性菌を出した病院を悪者扱いする風潮があります。まるで耐性菌の出た病院がひじょうに不適切な医療をやっていると言わんばかりです。が、それはまったく的外れの指摘です。そういった病院は、細菌を培養して調べているから耐性菌が出ていることがわかるのであり、じつはまっとうな病院なのです。

多くの病院では、耐性菌の有無を調べてすらいません。むしろ、最悪なのは「うちは耐性菌はまったくありません」という病院です。

麻疹が流行する国で新型インフルエンザは防げるのか(岩田健太郎)」より


上の文で、「耐性菌」を「拡散防止措置違反」に置き換えてみてください。

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