「捕鯨の町」太地町住民、毛髪水銀が全国平均の4倍、「安全宣言?」or「ほら見たことか?」

「捕鯨の町」太地町住民、毛髪水銀が全国平均の4倍

以下は、記事の抜粋です。


和歌山県太地町の住民約1千人について、水俣病総合研究センターが調査した結果、毛髪の水銀濃度が全国平均の約4倍に当たることがわかった。同センターが5月9日、発表した。

うち43人が世界保健機関(WHO)の安全基準を超えた。鯨肉を食べる習慣との関連が示唆されたという。水銀中毒症状など健康被害は認められなかったが、同センターの岡本浩二所長は「高濃度の人もいるので調査は続ける」としている。

調査は同センターが太地町の要請を受け、2009年6~8月と10年2月に実施し、住民3526人のうち協力の得られた1137人について測定した。

その結果、毛髪水銀濃度は平均8.26ppmで、同センターが調査した全国14地域の平均2.12ppmの3.9倍だった。男性は11.0ppm、女性は6.63ppm。WHOが神経障害などを発症しかねない基準とする50ppmを超えたのは43人で、最も高かったのは70代男性の139ppm。

水銀濃度が高かった人や希望者の計182人を対象に、神経内科の専門医が視力や聴力、手の震えなど健康への影響を調べたが、水銀中毒の可能性が疑われる住民はいなかった。水俣病を発症した患者の水銀濃度は100~700ppm程度との調査がある。

最近1カ月の間に鯨やイルカを食べたかどうかも調べた。「食べた」という住民の水銀濃度は男性が15.2ppm、女性が9.75ppm。「食べていない」とした男性は8.30ppm、女性は5.64ppmだった。同センターは「鯨肉などの摂取量と毛髪水銀濃度の間には相関関係が認められた」とした。

鯨の水銀汚染については、地表から流れ出た水銀がプランクトンから魚、鯨へと食物連鎖で濃縮され、連鎖の上位にある大型の魚や鯨に多く含まれるようになっていると指摘されている。同町では、沿岸で国際捕鯨委員会(IWC)の管轄外のゴンドウクジラを決められた漁期と枠内で捕獲している。

調査結果に対し、三軒一高町長は「古式捕鯨発祥の地として400年もの間、鯨類を含む海産物を食べ続けてきたが、風土病的症例もない。今後引き続き調査をお願いして、その点を確認したい」と文書で発表した。


イルカ漁に問題提起した映画『ザ・コーヴ』が、第82回アカデミー賞ドキュメンタリー長編賞を受賞しました。日本では、6月から公開されるそうです。本調査結果は、何ともいえないタイミングで発表された感じです。

太地町側は「安全宣言」と受け止め、欧米メディアは「ほら見たことか」と報じているそうです。

「専門家」の意見も分かれているようで、田辺愛媛大教授は、「水銀蓄積濃度の高いイルカやクジラを食べている町なら、当然の結果だろう。今回の数値であれば、健康への顕著な影響はないと考えられる。」と述べたそうです。

一方、赤木国際水銀ラボ所長は、「今回、100ppmを超えるなど、WHOの基準値よりも高い濃度の人が一定数おり、(クジラ類を)相当食べていることが推定される。放っておけば、健康被害が出る可能性もある。濃度が高い人には食習慣の変更を促す指導も考えたほうがよい。」と述べたそうです。

WHO(世界保健機関)は、成人なら毛髪水銀値が50ppm以下であれば、健康被害は生じないとしています。また、胎児に悪影響が現われるのは、母親の毛髪水銀値が14ppm以上の場合だろうともしています。

私は、赤木さんの意見が正しいと思います。それほど危険だとは思いませんが、水銀が蓄積するほど頑張って食べなくても良いでしょう。

おそらく、これで日本のクジラ消費量はかなり減るような気がします。今でも調査捕鯨で獲ったクジラの処分に困っているそうですので、捕鯨擁護派にとっては「痛いニュース」だと思います。

参考資料
水銀濃度が高い魚介類等

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