テラプレビル(telaprevir):難知性C型肝炎に対する新しいプロテアーゼ阻害薬

New Drug Cures Hard-to-Treat Hepatitis C
以下は、記事の抜粋です。


現在行われているC型肝炎(HCV)治療に失敗した患者は、同じ治療を繰り返す以外にほとんど選択肢がない。しかし、新しい抗ウイルス薬によって、この状況は変るかもしれない。

現在の標準であるペグインターフェロン・リバビリン併用療法では無効だった患者にテラプレビル(telaprevir)を追加すると、約半数の患者でウイルスを消失させることができた。これらの患者では、治療終了後6ヶ月後にはC型肝炎の症状は認められず、治癒したと考えられた。

テラプレビルは、プロテアーゼ阻害薬とよばれる薬物で、慢性HCV感染治療薬として期待される2つの薬物の1つである。慢性HCV感染は、アメリカ人300万人が罹患し、肝移植の最大の原因である。

テラプレビルは、ベルテックス(Vertex)社製で、もう一つのプロテアーゼ阻害薬ボセプレビル(boceprevir)は、シェーリング・プラウ(Schering-Plough)社製である。どちらもPhase IIIの臨床試験中である。

セントルイス大学のHCV専門家Bruce Bacon氏は、「これら2つの薬物が市場に出れば、早ければ来年、HCV治療は大きく変るだろう」と言っている。Bacon氏は、4月8日にNEMJに発表された研究には参加していないけれども、「ペグインターフェロン・リバビリン・プロテアーゼ阻害薬の3つを用いる治療法が確立されれば、多くの患者が救われる。私の患者はとても喜んでいる」と話している。

臨床試験の結果、テラプレビルを使わなかった患者での治癒率が14%だったのに対して、使った患者では52%だった。また、従来の治療に初期には反応して後で再発した患者の場合が最もよく新しい治療に反応し、テラプレビルを使用した今回の治療では4人中3人が治癒した(詳細は元記事あるいは論文の要約をみてください)。

テラプレビルの最もよくみられる副作用は、貧血と発疹で、テラプレビルを使用した患者の15%はこれらの副作用のために治療を中止した。一方、使用しない患者の場合は、4%だった。このように3剤併用療法は2剤併用療法よりも副作用は多くなりそうだ。

今年の後半には、テラプレビルとボセプレビルのPhase IIIが終了する予定である。


元論文のタイトルは、”Telaprevir for Previously Treated Chronic HCV Infection.”です(論文の要約をみる)。

テラプレビルは、C型肝炎ウイルス(HCV)の増殖に必要なNS3-4Aプロテアーゼを直接阻害する抗ウイルス薬です。上の記事によると、非常に期待できそうです。日本では、今話題の田辺三菱が導入しています。

コメント

  1. Masashi Miyano より:

    SECRET: 0
    PASS:
    もう一つのプロテアーゼ阻害薬ボセプレビル(えrk)は、シェーリング・プラウ(Schering-Plough)社製である。
    とありますが、Scienceの記事やWilipedia(English)の記事では、SPがメルクに2009年に買われて、開発はメルクがやっているとされています。

  2. tak より:

    SECRET: 0
    PASS:
    >Masashi Miyanoさん
    ご指摘ありがとうございました。お礼が遅れて申し訳ありませんでした。

タイトルとURLをコピーしました