医療費削減の新必殺技「フォーミュラリ」って?
以下は、記事の抜粋です。
政府は、医療費削減の目的で薬物療法に「フォーミュラリ」という新たなルールを設けようとしている。
欧米では以前からほとんどの国でフォーミュラリが導入されている。フォーミュラリとは、有効性・安全性が同等な薬の中で、より安価なものを優先して処方するという考え方。例えば英国では、医療機関や地域ごとにフォーミュラリが作られ、それに沿った処方が行われている。米国では、保険者が保険償還し得る医薬品リストをフォーミュラリと呼ぶ。
一方、日本では、医療費削減の観点から、保険収載されている薬剤のうち、より安価なものを優先して処方するための指針として「フォーミュラリ」を活用しようという動きが活発化してきている。
2017年の中医協総会では、降圧薬の処方傾向が医療機関によって大きく異なることが指摘された。降圧薬が1種類のみ処方された患者ではARBもしくはCa拮抗薬が処方されているケースが多いが、Ca拮抗薬の薬価はARBよりも大幅に低い。Ca拮抗薬で十分な効果が得られているなら、ARBを使っている医療機関でも、Ca拮抗薬の処方に切り替えれば薬剤費を削減できるのではないか、という議論だった。今年の中医協では、2020年度診療報酬改定に向けた主な検討項目にフォーミュラリが入り、今、まさに議論が進められている。
ただし、フォーミュラリには、明確な定義は存在せず、医療機関や地域でそれぞれの目的に合う形で運営されている。このように明確な定義はないとされるフォーミュラリだが、医療機関内での導入例が増え始めている。「院内フォーミュラリ」として、大規模病院を中心に、導入が進む。
米国で普及している「保険者フォーミュラリ」の導入を目指す動きもある。健保連は生活習慣病治療薬の選択にフォーミュラリを導入することによる経済効果を試算。診療報酬制度にフォーミュラリを組み込むことで、年間3100億円を超える薬剤費削減効果があると発表している。
以下の記事は、昭和大学病院が、近年の抗インフルエンザ薬の動向を考慮して、昨年に抗インフルエンザ薬のフォーミュラリーを作成した際に、フォーミュラリでゾフルーザ®(一般名:バロキサビル)を非推奨にしたことを紹介しています。
フォーミュラリーではゾフルーザを非推奨に
「医師が薬を自由に使えなくなる日」が近づいています。新薬メーカーは苦しいと思います。
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