糖尿病、検査1回で診断 学会が新基準
以下は、記事の抜粋です。
日本糖尿病学会は3月10日、糖尿病の新たな診断基準案を公表した。主な検査項目に、過去1~2カ月の平均血糖値を反映する「HbA1c」を取り入れた上、従来の血糖値と同じ日に測定することを推奨し、1回の検査で糖尿病と診断できるようにするのが特徴。5月の同学会学術集会で正式決定する。
これまでの基準は(1)空腹時の血糖値(2)75グラムのブドウ糖摂取2時間後の血糖値(糖負荷試験)(3)随時血糖値―に基準値を設定し、このうち1項目が基準値を上回り、別の日の検査で再び確認されれば糖尿病と診断していた。だが検査を受ける人の負担が大きく、1度目の検査後、2度目を受けず治療につながらないケースもあった。
新基準は、これまで補助的項目と位置付けられていたHbA1cをより重視。世界で標準的な「NGSP値」でHbA1cが6.5%以上で、従来の3項目のうち1項目を満たせば、その日のうちに糖尿病と診断する。これにより早期の治療開始につなげたい考え。
昨年の6月5日、米国糖尿病学会(ADA)と国際糖尿病連合(IDF)、欧州糖尿病学会(EASD)の3団体が、指標にHbA1cを採用し、「HbA1c6.5%以上を糖尿病とする」と定めた糖尿病診断基準を発表したことを受けた日本の動きです(関連記事をみる)。
ヘモグロビンは、赤血球の中に存在し、酸素を運搬する蛋白です。赤血球は、体内を巡る間に、血管内のブドウ糖とゆっくり結合し、糖化ヘモグロビン(HbA1c)ができます。高血糖であれば結合が増え、HbA1cも多くなります。
HbA1c値の半分・50%は過去1ヶ月間の間に作られ、約25%が過去2ヶ月、残りの25%が過去3、4ヶ月で作られるとされています。したがって、HbA1c値は過去1~2カ月の平均血糖値を反映すると考えられます。
HbA1cの正常値は、4.3~5.8%です。また、現在日本で使われているJDS(Japan Diabetes Society)値は、NGSP(National Glycohemoglobin Standardization Program)値より約0.4%低いです(NGSP(%)=1.019×JDS(%)+0.30)。
溶血性貧血等、赤血球寿命が短縮する場合は、HbA1cの値は平均血糖値を正しく反映せず、低くなります。この他、鉄欠乏性貧血、妊娠、透析などの時にもHbA1cは平均血糖値を反映しなくなります。このような場合には、グリコアルブミンを測定します。
前回の基準は1999年に作られました。今回の改訂理由の一つは、糖付加試験のめんどうさと実施率の低さだと思います。糖尿病の本質を考えると、血中インスリン濃度の変化ですが、これはとりあえず診断がついてから調べるということでしょうか。
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新しい糖尿病の診断基準: HbA1c6.5%以上
米国糖尿病学会(ADA)と国際糖尿病連合(IDF)、欧州糖尿病学会(EASD)の3団体は2009年6月5日、新たな糖尿病診断基準を発表しました。指標にHbA1cを採用し、「HbA1c6.5%以上を糖尿病とする」と定めました。
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