腸由来セロトニン合成の阻害薬:骨形成促進による骨粗しょう症治療の可能性

Pharmacological inhibition of gut-derived serotonin synthesis is a potential bone anabolic treatment for osteoporosis

以下は、論文の要約です。


骨粗鬆症(osteoporosis)とは、骨形成速度よりも骨吸収速度が高いことにより、骨量が減ってしまう病気です。

腸由来のセロトニンが骨形成(gut-derived serotonin, GDS)を阻害することが知られていたので、研究者らは、腸のセロトニン合成を阻害すると骨形成が増加し、骨粗しょう症を治療できるかどうかを動物モデルで調べた。

トリプトファン水酸化酵素-1(tryptophan hydroxylase-1, Tph-1)は、腸由来のセロトニン合成の最初の反応を触媒する酵素です。研究者らは、この酵素を阻害する低分子化合物 LP533401を合成して、実験に使用した。

骨粗しょう症のモデル動物としてよく用いられる卵巣切除したネズミ(マウスとラット)に対して、 LP533401の少量を経口投与したところ、予防的に効果があっただけではなく、既に骨粗しょう症になったネズミに対しても、その骨量を用量依存的に増加させ、治療的にも効果があった。

これらの結果は、腸由来のセロトニン合成を阻害して骨形成を促進させるという新しい骨粗しょう症の治療原理を証明するものだ。


ビスホスホネートなど、骨粗しょう症に対して用いられている薬物のほとんどは、骨吸収を抑制して骨量を増やすことを目的としています。

例外は、副甲状腺ホルモン(PTH)で、骨形成を促進しますが、毎日注射する必要があり、2年間以上長期投与ができません。

本論分で報告された腸でのセロトニン合成阻害薬LP533401は、モデル動物の骨粗しょう症に対してPTHとほぼ同様の効果を示しました。

LP533401は、血液脳関門を越えないことが確認され、脳内への影響がほとんどないと書かれていますが、末梢組織にあるセロトニンニューロンや腸管運動への影響などが気になります。
いずれにしても、骨粗しょう症治療の選択肢が増えることを期待したいと思います。

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